テキスト1977
46/148

ごじゅうぎりづつ二重切筒、三重切筒、五重切筒の生花は各段ごとに真行草の花形を配合してそれぞれがよく調和して、よいバランスをとって活けられていることが大切である。この写真は、山桜(左方三段目)の大きい草の花形の登り活け、亦椿(右方最下段)の行の花形、上段のフリージャと、二段目の黄色の草花ポリアンヌ、四段目のクリスマスローズの小さい緑色の花。これらの花の配合と左右の花形、また大小の組み合せで風雅に変化をみせて、仝体が花材の強さやさしさ色彩の配合を考えて、活けられている。llt水R 江戸時代中期から明治期へかけて生花が流行した。このいけばなは今日にもなお伝統の花としてうけつづいているのだが、そのころ江戸時代を通じて盛んであった立花が、あまりにも荘厳重厚の性格をもつ花であったために、一般大衆的に立花よりも手軽るに活けられるいけばなとして生花が考案された、というのが生花のはじめである。その生花さえも今日では技巧的な花として、よい作品を作ることが難しく考えられるようになり、それよりも手怪るに活けられる盛花、瓶花にうつり変わった、というのが真実といえる。盛花、瓶花が手軽るで活けやすい、というのではないが、自然のままに挿すことの出来る花、今日の生活環境に調和する花として盛花、瓶花が大衆の花として、生花よりもこれが好まれる様になったのは、時代のうつり変わりが大衆の趣味の範囲にまで大きい影膨をもたらしたもの、ということが出来るのだろう。江戸時代の生花には意匠的な作品が多い。今日伝えられた花器を考えても、舟の形をうつした花器、釣瓶に校した花器、手桶、ばだらい、釣舟の花器の様に生活用具を模した意匠花器、花留具にも亀、七宝、その意匠のありどころが形式的であって、今日の盛花、瓶花の花器や留具類とは考え方がよほど迩っている。竹器類にも一重切箇、二重切筒、三重、五屯切筒、二管三管筒、その他に数十種に及ぶ竹器の切り方、形、その意匠など大部の様に伝統の形を校したものなど、次ページ上段へ観6生花五重切筒の

元のページ  ../index.html#46

このブックを見る