テキスト1977
44/148

cヤマザクラの古木にポリアンヌという小さく低い洋種草花を添える。ヤマザクラは自然の形のものをそのまま花器におさめて安定させ、真、副、はそのままの枝振り、胴に軽い枝を1本そえて低く右方へさし出してある。無駄な枝をとり去って自然のままの木振りを利用して竹筒に安定させた。上方へのびた山桜の中央部分が直立しているが、これはこれで変わった花形を構成することになり、無理にため曲けることをしないで自然の形を利用した、草(そう)の花形ともいえる生花である。株もとの右ヘ倒れている形も面白いしバランスが変わっている。清楚淡白といった花形だが、あしらいにはボリアンヌという黄花の桜草科の洋花を添えた。c (生花鉢栢えにして花屋で売っているものを買ってきて、その1本の花と葉を3枚切りとって添えたが、黄と緑の花と葉が新鮮な感じで、山桜との色の配合が美しい。この取合わせは瓶花の配合の様だが、新しい生花は瓶花、盛花の取合わせと同じ様に、瓶花、盛花の材料と思える様なものを積極的にとり入れて行くことが望ましいのである。ヤマザクラボリアンヌ生花は株もとを―つにまとめる、というところに特徴がある。足もとを美しく揃えて水際美しく揃えて花器に入るところ、技術的にもむずかしいところである。生花に配り木(くばり木)を使うのは足もとを―つにまとめて引きしまりのある形を作るためだが、それには特殊な技法があり、配り木そのものにも種々な形式が定まっている。左ページの図はその代表的なもので、①は真のくばり木といい、別に向うくばりともいう。前後にまっすぐかけ、穴を前後に細い形のものをかける。真の花形の場合にこのくばりを使い、活けるとき留より入れ、段々と後部へ胴副真と逆に入れる。②は普通一般の材料を活けるときに用いるくばり木、主として行の花形を入れるとき使うのだが、真の花形の場合も、草の花形の場合もとの配り木を使ってもよい。③は二重くばりといって上段下段のニカ所にかける配り木。太い木ものや足もとにくせのある木ものなどを挿すとき、この配り木を使うとしっかりと留りやすい。④は井箇くばりといって、青竹片を井筒に組みその中央に花を挿す。花器の中央より株を立てることの出来る特徴がある。⑤木の又木のないとき、省略して使うくばり木で2本の木片又は竹片を組んで使う。Rは竹片の中央にふしのあるものを使う、一方を二つにわけて割りそれへ花材を挿す。⑦竹くばりと同意だが、これは木片を二つに割り一方をひろげて配り木に使う。せいか生花のくばり木)4彎猫

元のページ  ../index.html#44

このブックを見る