テキスト1977
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お花代はその土地によって値段が変わるものです。ここに記しているのは京都市の値段ですが、同じ花材でも大阪、東京と比較すると余程辿う様です。ことに地方都市ではこの何割かは安いのかも知れません。また季節によって違いますし、二月と四月とは余程差違があります。この写真原稿に挿花日を書き添えたのはその参考のためです。の材料喪による区別を写真の上で見ると、ずいぷん差迩のあることがわかります。練習用の花材でもよい花材を使わないと本格的のお花が入りませんし、実際、いけばなの進歩のためにも、お粗末な花材では簡単すぎて研究が出来ないと思います。団体のお稽古は時間に制限がありますからある程度の花材でもよいのですが、単独で習われる個人稽古の方は出来るだけよい花材を使って時間をかけて、充分よい作品を作るように心がけることが望ましいのですこのテキスト8.9ページの作品は一000円の花材費ですが、花材の品質もよく、なんとなく重厚な感じが出ていますね。このテキストに3種の花材を並べたのは、そんな点にも注意を呼び起こしたいためです。よいものにふれることは自分の知識を高めることになります。花材費について五00円、七00円‘1000円ユキヤナギラッパスイセンc温室咲のユキヤナギ、ラッパスイセンの取合せです。花器は褐色の鉄砂(テッシャ)水盤。花形は左勝手の応用花型。この配合は色彩的にも美しい一般的な取合せですが、足もとにもう一種加えたいところです。水ぎわのすくのは軽やかな感じで好ましい。(3月2日挿花・時間13分)家元の教場で例月第2火曜日に盛花瓶花を研究する「花曜会」があります。また例月一日の夜に生花を専門に研究する「梓の会」というのがあります。いずれも師範資格の人達の集まりですが、「花躍会」の方は盛花、瓶花の部門ですから、各自が花材を持ちよって自分の思うままの花を活け家元の批評をうけます。この花曜会でいつも舵切に感じることは会員の皆さんが材料の選択配合に苦心していることです。そしてよくない作品はほとんど材料配合を誤っている場合に多いのです。花屋へ行って盛花、瓶花の材料を選択することが、どんなにむずかしいかについてよくわかるのですが、皆さんはお桔古の花を自分みずから買いに行きますか、花屋のいいなりにまかせて買ってくるのはまず第一にいけないことです。花屋のすすめるのは一般的大衆的のものが多く、特殊な考案というのがほとんど入ってないのが普通ですから、そんな取合わせでは平凡な作品しか作れない、というのが普通です。自分の考案を活かすことの出来る適切な材料を選ぶこと、しかもそれが優れたアイデアであること、そんな意味で自分の作品材料は必ず自分で選びたいものです。桔古中の方達は材料を買うことさえも大変ですが、やがて理解が進むにつれて自分の個性のある花材選択をしたいものです。そのためにもこのテキストの配合を注意して下さい5c

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