テキスト1977
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R梅を真、副、胴の部に入れ、控に若松、留に熊笹を取合せた「松竹梅」の生花である。松は老松を用いる場合、若松を用いる場合の二つがあって若松は留控に使うことになっている。竹は孟宗、真竹、寒竹、黒竹などどれを使ってもよいが、熊笹は留に用いる。梅は上部下部のいずれへも使い、時として瑞枝(ずわえ)の細い直線だけ二、三本使うこともある。以上それぞれの個性と形を組み合わせて松竹梅の配合をするのだが、その組み合わせ方は作者の考案によることになる。従って自然、花形にも変化が生ずることになり、作成上の技法も中々むずかしい。以上、引用したのは古典立花の「松竹梅」の考え方で中々むずかしい約束があったのである。今日の生花では以上の様な「作法上の形式」は改められており、花形作成の上に、好ましい花形や技法はこれを尊重して、例えばR図にある様に「砂摺」ーの意匠などによき伝説として保存している。「砂摺」というのは松竹梅の生花を活ける場合に、砂鉢又は広口の花器に、一方の株もと空間を意匠づけるために松又は梅の切り株を(低く一、二寸程度)のあしらうもので、砂上に見える株の意で「砂栢」という名称がある。留の方の株もと、又は副の方の株もと、いずれへ四いてもよいことになっている。またこの砂和いは意匠的なもので使っても使わなくともよい。(砂ずり又は水たたきという)立花生花とも竹を活けるときは、水ぎわの上一、二寸の上方に竹の節(ふし)を見せることが定めとなっている。松竹梅の枷合でも同じである。さて、竹を活けるのは秋十月より秤三月までが最も水協げのよい季節といわれる。竹の子から二年経たものが水楊げもよく姿も美しい。少し垂れたものを切り採って、採集した時点で、足もとをよく勺」んで持ち帰り、帰宅後に水楊げをする。足もとを熱枇(中へしょうちゅうを加入)にて5分ほどたき沿水にうつす。また、竹のふしを抜き上方よりアルコール類の薄めた液を入れそのまま活ける。笹は水揚わるくすぐ枯れ枯れとなるので全面に砂粧水を吹きかけて使用する。太い竹を水盤に留める場合は特別のエ夫が要るものだが、少し厚目の板に竹の太さに見合わせた木の幹(10ンチ程度)を打ちつけ、それに竹を挿し入れて留める。最も簡単な方法である。松竹梅の生花は中々むずかしい技巧のいるものである。竹を採集することから、三種の材料の組み合わせ、よくバランスのとれた花形など、技術的にも充分鍛練を要する花といえる。Iすなずりセ3松竹梅@ 梅若松熊笹生花

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