テキスト1977
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とき日本の瓶花史の中に重要な部分をしめる「文人花」を関西いけばな研究グルー。フの同人の人達が作品を展観、同時に貴重な文献を展示して展覧会を開催された。花道の学術的研究のために実に貴重な企画であるこのグルー。フ展を参観、感激を深くした。桑原隆吉も同人として参加出品したが左記は。ハンフレットに掲載の文である。南宋の史書のうち街の様子を描いた巻を読んだことがあるが、実に街中の商品が豊富であり、現在の香港あたりと大して違わないようにも感じられる。芥川龍之介の短篇芋粥の時代に近い。時代が下って幕末に来日したヨーロッパ人やアメリカ人も口を揃えて日本の支配階級のつつましさを指摘している。ハリスも日本の宅の家具」は「アメリカの謹直で堅実な職工の家に見られるものの半分の値打ちもない」とまで言い切っている。その美術的価値を別にすればその通りであろう。中国においても、ヨーロッパにおいてもぜいたくは支配者の美徳であった。その美徳の持主が中国の文人である。前回のわび、さびという日本の美とは異質な美をいけばなで求めるのが文人清趣である。日頃私達は、ともすればわび、さびに傾きやすちになる。近い中国をも我々は余りに容易に知ったつもりでいる。近時世界もせまくなった。日本とは異質な文化のその本質を知るべき時であろう。第五回関西いけばな研究グルー。フ展10月29.30日中国文人と花<i蒙ところ大阪美術倶楽部華絢爛なものを遠ざけ勝桑原隆吉I5「大名の邸c Rさんこうまつ(三更松)は園芸で栽培される若松である。根つきのものを切って活けるのだが、背が低く押しつまった形で中々面白い形。これに赤色紅色のダリアを五輪そえて活ける。松の緑とダリアの赤。変わった配合である。ダリアの茎を長くさし出して明るい感じに作りあげた。花器は黄土色に金色の荒い図案がある。色彩的な瓶花である。cこの壷はギリシャの水壷を模して作った陶器だが白地に黒く描いた図案が美しく出来ている。アス。ハラカスの長く垂れた茎、大輪咲きの淡紅のカーネーション、アンスリュームの枯葉一枚を横にして株もとに添えた。軽やかな感じの瓶花だが、右方のアスパラカスの形と、その下の空間、カーネーションの配列に工夫のある明るい感じの瓶花。文人清趣アスパラカスカーネーションアンスリーム枯葉

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