テキスト1977
134/148

盛花瓶花の材料として使う花の色は主として緑の葉の中に加えることになる関係から、赤、朱、黄、オレンジの様な強い色の花を入れるのが一般的である。それを淡い紅色や淡い黄色、白色の花を使う様にすると意外に用いにくい様な感じがするものであるが、趣味のよい配色になる。前ページのホトトギスの褐色や、リンドウの白色の様に、またこのページのオドリ菊の淡い紅色、対。ヘージのカーネーションの白、バラの白花のように緑の葉や褐色の中に、白という配色は、意外に使いにくいものであるが、出来上がってみると中々感じがよい。皆さんが活けている盛花のこれまでの花色を考えてごらんなさい、きっと強い色が引き立つように考えて配合をしていることが多いと息うのです。ことに花屋に取合わせをまかせた場合、平凡な大衆的な配色となることは当然であり、特殊な好みは出来ないのが普通だが、ここで少し傾向をかえて淡泊な色彩感といった考え方をしてみると、新鮮な印象をうけることになるから、それをおすすめしたいと思うのである。たとえば、緑の中にある白い花、淡い紫色(トルコキキョウ、ライラック程度)の様な色感はその瓶花盛花を上品に新鮮な地じに見せることが出来る。黄色にしても黄菊の大輪花の賑やかな黄色よりも中輪淡彩の淡黄色、といった程度だとなんとなくその瓶花盛花を明るく感じさせることになる。たとえばサンキライに黄菊といった配合の場合、赤い実と強い黄色では折角の風雅も俗悪な感じになってしまう。平凡な黄色の花は、いちばん注意すべき色である。R白竹であんだ荒目の篭。風雅な形の篭でこの花器には自然趣味の野趣がよく調和する。すすき、けいと、さんぎくといった取合わせがびったりとする花器だが、ここでは少し趣きをかえて、アンスリュームの大葉一枚、渋い紫紅色の単弁の小菊、枝振りに変化のある小菊(おどり山菊という)を入れ、残り花の桔梗の紫を添える。淡彩の中に野趣のある取合わせだが、その中に一枚のアンスリュームの大葉を高く横に使って変化をみせている。平凡を越えようとする作者の考え方である。R褐色の浅い水盤。ドラセナのふいり葉を二株、低く左右に挿しその中央部分に白花のカーネーションを七本入れる。低く平らに盛ろうとする考え方である。前方のすそもとにはドラセナの葉を三枚ばかり挿し添えて足もとをととのえる。低く平らな花形を考えて作ったのだが、濃い緑の葉に白い線条、白色のカーネーションが清楚な色調をみせている。c白いバラ8本、褐色のえのころぐさの穂、この二種を赤褐色の手附陶器に活ける。白花と緑の築、褐色の配合だが、結果的にはえのころぐさが弱くよい作品とは思えない。色としては面白いのだが、えのころぐさを点々とばらつかせたのが欠点になっているのかと思う。頭を揃えた挿し方がよかったのではないかと反省している。花器もよいしバラの白もよく調和している。もう一稲の花材を考えるべきだったと写真が出来上がってから反省している作品です。平凡な作品。R アンスリュームの葉おどり菊キキョウ10

元のページ  ../index.html#134

このブックを見る