テキスト1977
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Rサンザシの実が赤く色づき秋もようやく深くなってきた季節感をしみじみと感じるのである。白椿との配合はおきまりの様ではあるが、松にバラ、すすき女郎花のように、まことに調和のよい配合といえる。花器は白地に黒い線条があり、花瓶の内部は仝面朱色という明るい感じのものを選んで、この取合せは常識的ながら、安定した咸心じの明るい日本趣味といった花である。サンザシの形は右勝手の砧本型に、真副胴に枝を配岡して、中間と留に白椿を入れている。控にはサンザ、ソの枝、という仝<凡本型の形である。糾雅な花形の中にひろやかな楽な調子に入れているところ、これがこの瓶花のよさであろう。花堺の内部の朱色とサンザシの実の亦色とのが、この瓶花を色彩的に引き立てていると恙う。11色サンザ、ンRモンステラの葉、ホトトギスの褐色の花。変わった取合わせである。静かな雅趣とモンステラとの対照は全然あわない花材と息われるのだが、それを合わせて変わった感じを出そうとする、そこに研究がある。花器は猿い青紫色の陶器。これも変わった形と色である。とにかく普通に考えると調和しにくい様な配合をしようとするのは、よく承知しながらなにか面白いものをつくり出そうと試みる―つの態度である。ホトトギスは横にさし出すのが普通なのに、上方へ立てて使いにくい調子に形づくっているのも同じ意味の、別のものをみようとする考え方。⑧ RR モンステラ白椿ホトトギス8R •. /

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