テキスト1977
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私の手もとには永い年間、いつとはなく集まってきた花器がいろいろあるのだが、陶器も日本の陶器の他にヨーロッパの壺の類、中国、イラン、インド製の陶器、金属器、篭の類。いずれもあまりよいものはなく、いわばガラクタ道具にすぎないものだが、道具屋で見つけるとすぐ買ってしまうという手軽な程度のものが数々ある。このページRRの壷は二つともイランの古い陶器で、図案が面白いので買ったのだが、ダリアを入れた花瓶は魚と鳥の画が中々よく描かれており、藍と緑の描いた図案がよ来ている。かなり時代をへたものらしく一種の品格さえも感じられるし、花を活けてみると日本種の木もの草花、韮やかな洋花さえもよく調和する。Rの壷は同じくイランの古い時代のものらしく土器の白地に藍絵の草花紋の花瓶だが、古い。ヘルシャ瓶の荒い仕上げの中に落祈きを慇じさせる古雅な風格をもっている。これも日本花、洋花のどれにも調和する使いよい花器である。時として花材をきめてから花器をさがしにゆくこともある。cのコスモスを活けた陶器、コスモスを花屋で買ってその帰り道に朝日会館に立ち寄り、地下の雑品屋でコスモスによく調和する様な容器はないものかとさがしているうちに、形は大きいが黒色のガラスの灰皿を見つけ出し、花の色にも葉の軽やかさにもよく調和する手頃の容器、と持って帰ってすぐ活けたという、こんな場合もある。コスモスの軽やかさ、甘さに調和するには普通の水盤よりも、なにか適当な容器はないものかと買い出してきた容器である。<itlRハレコニアの赤く褐色の枯花。ダリアの濃赤の花四本を添えて活ける。花器は白地に藍絵の花瓶で色彫的に強い感覚の調和である。花形は立体の単純な形だが色彩的に特徴のある瓶花といえる。ハンギング・ハレコニアという材料は熱常種の草花で、芭蕉のような茎に集団花をつける面白い形のもので、クマタカに類した品種のものであろう。Rサンキライの黄緑と朱色に色づいたもの四本、早咲きの白椿を添えて瓶花とする。外国陶堺に入れたこの花は、意外によく調和して落若きのある感じをみせている。サンキライには菊の類、椿の類、初秋のころにはリンドウ、残花のキキョウなど調和のよいものだが、枝振りをよく選んで花界に安定させ、実つきの軽やかなものに山木の葉を添えて活けるのも雅致があってよい。根じめの椿の形をよく考えることである。c黒色ガラスの灰皿、少し大ぶりなので花浩に使うのにちょうど手ごろである。今年はコスモスが美しい。品種がよくなったのか栽焙が巧くなったのか、茎の太いしっかりしたものが見られるようになった。葉の美しい大輪咲きのものを選んで小品盛花をつくる。黒色の容器に色がさえてあざやかに美しい。花首の短く太いものを選んで活ける。上方で花を揃えて左方に長く1本、右方に短1本を入れ形のバランスをとる。〈6R

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