テキスト1977
121/148

アラスカのアンカレッジの空港についたとき荒涼とした原っぱに赤紫のヤナギランがいちめんに咲いているのが目につく。黄禍色の飛行場の土と遠くに見える樅の樹林、それを色どる様にしてヤナギランが咲く。花のやさしさをひとしお深く感じるのである。八月のはじめ、信州の美しが原でこの花が群落をつくって咲いているのが心に残っているのだが、今年もスイス旅行のとき、はからずもこの花を見てなつかしい思いをしたものヤナギランだった。アイガー北墜を望む電車ののりかえ駅クライネ、シャイデック駅附近の大草原に、この花が花畠の様に咲きつづいているのをみた。赤紫の花の色、草原の緑、はるかに見える雪渓の白とが、明るい色彩感をもって、私達に強い印象をあたえたものである。cこの花器は京都の陶器、最近買ったものだが仁松の作品で渋い好みだが、手が少し大きく買ったとたんに嫌になった花器である。花器を買うのはむずかしいものである。注意していても時々こんな花器が舞いこんでくる。さて、枯花のヒマワリ、オ、白菊の三種の盛花を活けたが、配色もよ<趣味もよい盛花である。ヒマワリの野趣がちょうどこの花器の少し荒い感じに調和している。花器の左方を少しすかせて手をみせてある。ヒマワリが前方へ傾いている関係で、紫色のトラノ大きく写りすぎているのがよくないと思う。c ヒマワリ枯花キクトラノオ

元のページ  ../index.html#121

このブックを見る