テキスト1977
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モ~ 庭のすみに白花の父珠沙華がただ一六月に入ってから毎日午前四時半まで机の仕事をつづけて、やっと秋を迎えたという私、庭に咲く夏の花もほとんど見ることもなく、ようやく夜さむの季節になったこのごろ、あなたのお花本だけ咲いているのをみて、とにかく大変だったと、しみじみ思うのです。皆さん、テキストがおくれてすみません、これから少しでも早く号をとりもどすつもりですから、どうぞよろしくお願いします。毎月のテキストをつくるたびごとに、皆さんのいけばなに、プラスになる様な作品をつくるように、参考になる様な原稿を書く様にと思いながら、中々ゆきとどかないことを残念に思っております。ただ、家元という私の役目を考えて、今日のいけばなとして、いちばんよい線におつれする、その責任をいつも考えつつ花をいけています。そして桑原専慶流のお花はいいお花だと見ていただけるような、内容のある作品を作りたいと、いつもそんなに考えるのですが、皆さんもその点を充分、心において勉強して欲しいものと思います。いうまでもなく、優れた技術と考え方、これが大切なことですが、それに真面目な研究が基礎となります。そして私達の周辺にある美しいものをよく見ることです。美しいものを正しくみる理解力とそれをいけばなに表現する技術とが結ぶことが出来たなれば、必ずあなたのお花はすぐれたものになります。(専渓)四-,~ ..、\心-, 毎月1回発行桑原専慶流No. 172 シンビデューム編集発行京都市中京区六角適烏丸西入桑原専慶流家元クリクロトン1977年10月発行しヽけばな

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