テキスト1977
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長短の二本の筒に生花を活けるのを「二管筒の生花」という。三本の筒を組み合せるのを「三管筒」という。てバランスをとり、また花材の配合と色彩の(エンコウスギ真行草の花形を配合しテッボウユリ)調和を考える。この写真は二管筒の生花。ンコウスギは草の花形(右勝手)テッポウユリは真の花形(左勝手)の組合せで、大小の花形を対照的に活けて調和をとる。つこ。f 江戸時代中期にはじまった生花が、庶民大衆の中に流行するにつれて、基本的な生花のほかに意匠的な工夫が考えつかれるようになった。この時代の特徴ともいえることは変化のある種々な花器を使って、それに調和するいけばなを作り、意匠のある花器に意匠のあるいけばなといった調子の作品に、技巧と工夫が行なわれたことだ花器にも舟、井筒、手桶、農器具、魚具の様な目にふれる風雅な形をうつして花器を作り、花留具の類にいたるまで、生活の側近にある美しい形、雅趣のある形をとりあげて、これに模して花器に作り、あるいは花留具に作ったものだった。ことに竹器の切り方などの意匠には自然と生活の中にある風雅な趣味をうつして工夫されたものが実に多い。それらの意匠的な花器が伝統的に今日に伝えられ、現在の私達のいけばなの中に用いられているものも数々ある。ここにお話する「つり舟の花器」もその―る。座敷の床の間には、置花生に花を活けるのが普通だが、その他には柱がけといわれる「かけ花」床正面の壁にある胴釘(かけ軸の後の壁)にかける「向うがけ」の花。それと床の間の上座(庭の方)の天井にある「ひるくぎ」にかける釣り花生。この三種が代表的な飾り方である。天井のひる<ぎに「つり舟の花器」を釣りそれに花を入れる。高い位訟の花であるから、軽やかに風雅な趣味の花が好ましく、一種又は二種程度がよい。釣り舟の花器の釣り様、つり花の活け方については種々な定めと形式があって、「出船の花」「入り船の花」「泊り船の花」など、その他いろいろ約束があるのだが、要はこの写真に示す様に花器を釣り、軽やかな花を瓶花の形式にて活け、かけ軸との調和、花器の高さなどを考えて活けるのである。垂れものの花材が好ましいが、必ずしもこれに限るわけでもなく、椿一輪を小さく活ける、杜若一本に葉を添えて活けるといった調子もよく、花器の種類によっては洋花もよく調和する場合がある。花器がよく廻るので活けにくいが重熾があると安定して活けやすい。つであ_一 管誓筒□の.... エ生哀花か15

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