テキスト1977
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Rこの花形は真の形である。(九葉一果)。棠の名称は次の通り名附けられる。莫、副、見越、立ち葉(真と副のまん中)胴(露うけ葉という)総かこい(下部の前)留(流し葉という)控(実かこいという)胴のわき(風かこいという)伝説によると、万年青の花咲く6月の頃、花を保護してその上方の葉を函うけ葉ととなえ、左方の小葉を風をかこう築、実の後方の実を抱<葉を実かこい、と名附けて、おもとの自然の姿がいかにも実を保設して生育しているようだ、とそんな夢をいけ花の中にしめしあらわして、側々の業に特別の名称を附したものである。おもとは裏庭の雑木の株もとに群がって植えられているというのが私達の常識である。また鉢柏に小さく育てられて盆栽用に栽瑞されているのも私逹のイメージの中にある。普通は栽培柏物だがそのはじめは山地に野生する種類のもので、国内の山地や中国に多い自然生の植物である。私の見たのは岡山県高梁川の上流地方の山地だったが‘―つの山いっぱいにおもとの群生するのを見たことがあった。寿命の永い植物で三十年近くも長く育っていたという記録もあって、おもとが長寿の目出度い草であり、一株が次々と羞牙を育てて生長し、赤い実が緑の菓の中に見え、いかにも祝儀の花としてふさわしい姿をもっているので、古来おもとを「万年育」と書き長寿と祝福の花として、主として伝統のいけばなに好んで用いられているのである。荘重典雅な花c 二株生花材として、昔より万年青の生花は「奥儀のいけばな」という感じが深いのだが、実際その様な奥許し的な伝説よりも、形よく築を組みいかにも品格高く万年青らしい姿を生花の中にあらわす、という考え方と技法は、たしかに永年にわたって生花を研究した人でないと、完全に活けられないということは事実である。ての約束があり、して考えつかれた生花の花形とその伝説)これを習い研修して、万年百らしい姿と、品格をもつ作品をつくることが、いちばん必要なことはいうまでもない。自然らしさと、生花の花形との調和という点からみて、それを作る上での必要な条件であることは、大切に考えるべきことと思うのである。ことに「万年青の生花」には流儀とし(その自然出生を研究仏統の約束と花型の規定は、万年青のガ年肖の生花R 九葉一果(真)6

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