テキスト1976
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Rこの盛花は少し大きいが、基本花形の形に作ってある。花材は山木のトベラ、黄花のカンゾウ、それによく似たスカシュリの赤褐色の三種の配合である。花器はタイ国製品のチーク材の木鉢である。形に仏教国らしい感じがあるこの花器は買ってから五年ほどにもなるが、なんとなく花を入れることもなくそのまま棚ざらしになっていた花器。花器の直線と三角の切り込みを意識して来月号にもう一度、考えて使ってみよう。この盛花は百合とカンゾウという同じ百合科の花を二つ重ねて使っているのが特徴。盛花、瓶花を作るときいちばん必要なことはー、花材の選択と配合2、花器の選択と花材との配合3、花型に対する考え方4、いけばなを作りあげる考案技3術買いととのえる訳ですから、花材をなど、その他にも重要なことがありますが、以上の点が基礎として必要です。これは当然なことであっていけばなを苦う人達の常識の様になっているのですが、羽いはじめの人達からかなり永い年間、盛花、瓶花を活ける人逹にも中々むずかしい問題になっています。花を活ける場合、ます花材を選択することが第一です。花器を選定してそれからそれに調和する材料を選ぶ、という場合もありますが、とにかく花屋へ行き花を買うということが普通は第一段階となります。いけばなは材料の花の選択によって、自分の作品のよしあしが決定的に定ってしまうことになりますから、材料の選定という第一段階が作品の重要部分をしめることになります。どんな花を選ぶか、その日その時にある材料を、ほとんどの場合これは花屋の店頭で短い時間のうちにみてすぐ配合をきめねばなりません。一種挿、二種三種などその場所できめることになり、その配合が悪かったり、好みが平凡であったり色彩的によくなかったり、いろいろの欠点がこの段階で生まれます。花を買うという簡単なことが、どんなにむずかしい事であるか、5年10年の長期問いけばなを研究している人でも、一瓶の調和のよい花材を買うのに苦心するわけです。花屋に取合わせを相談したり助言してもらって買う人がありますが、これではよい花が出来ないと思います。材料は自分の計画によってきめるのですから、他の人の助言は一切きくべきではなく、自分の考えるままにきめることが大切です。そしてこの態度は花器を選び自分の作品を作りあげるまで、自分の信ずるままにきめて行くことが大切です。花を買うことは平凡なことです。また庭の花や山野の材料を活けることも好ましいことですが、いずれにしてもこれらの材料の選定には自分の意志によって定めるべきで、趣味のよい配合、よい色彩の配合品格のよい花材の配合以上の点に注意すべきですが、またその配合の中に、いけばなの気品\ 8 考えるいけばなR トベラカンゾウスカシユリ

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