テキスト1976
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c草の繊維で作った篭、農家の豆とおしの篭をうつした民芸品である。直径50センチもあるたっぷりとした形で索朴な雅趣がある。銅製の低い水入れの容器を二個使って左右の隅に置き、中央に空間をとる分体花型の様式にて盛花を作った。ハナショウプ、ミズギボウシの葉タケシマユリの三種を配合したが、自然調の花材をあつめて篭の風雅さに関和するように考えた。ハナショウプのつぼみ側花を長短奥行を考えて配置、足もとにふ入築のミズギボウシの小葉をつける。別株にタケシマユリの黄花2本、右前斜にさし出してバランスを考え花形をつくる。篭の内部の中央のすきあいが美しく見える様に考えた。c 花を活けながら思うのだが、だれしも花を活けるとき満開の花を選ぷよりも、明日咲く程度のつぼみ、又は中開の花を選ぶのが普通になっている。活けるとき花がかたくとも花器の中で咲くのがよい、と思うのが普通である。みの形がよいか、咲いた花の形がよいかというと、さあ、どちらがいいでしょうと、答名があいまいになってくる。皆さんはそんなことを考えたことがありますか。実際、多くの花の中でつぼみの方が形がよいと思えるのは案外に少ない。例えばスイセン、ツバキ、ナタネ、カンギク、ボケ、などは開花よりもツボミから半阻き程度の方が形もよく花の風雅さを感じられる。梅、桜なども半開程度までが好ましいのだが、これに反して、バラ、テッポウユリ、ヒメユリ、テッセン、キク、ショウブ、カキッパタ、アサガオ、キキョウ、ボタン、シャクヤク、オミナェシ。また洋花のダリア、ガーベラ、カーネーションなどの類は、ツボミでは形も悪く聞花があってこそ真実その花の美しさが理解される、というそんな種類もある。ツボミと開花がいり交ってこそ、その花の美しさが感じられるという花の種類も中々多い。オ、ミナェシ、キキョウ、アサガオなど関花であってこそその花らしい味わいが感じられるといった場合がその他にも中々多い。私逹はこんな点を考えて、ツボミであればよい、といった考え方だけではよいいけばなが作れないことに注意したいと息うのである。それではつぼ7ショウブタケシマユリミヅギボウシ

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