テキスト1976
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仕花、瓶花、盛花のどのいけばなの場合にも、まず花器と材料が第一に考えられます。花器と材料によって活ける花形が定まるわけですが、ことに古い伝統生花の場合には、花器によって特定の花形を定めることが多いのです。これを分類してみますと、①竹器、陶器、金屁器などの置花生②水盤様式の花器③一重切筒、二重切筒、三重切箇、二管筒、三管筒など竹器の意匠的なもの④篭花器、瓢の花器、漆器など材質と形に変化のあるもの他にもあるでしょうが、以上の花器のうち、①は普通の花器、正統的な花器ともいえるのに対し、②より④までの花器は、花器に意匠を加えた形のもので、しかも江戸末期以後、今日までつづいている伝統の花器なのです。これらの伝統の花器に活ける生花は、およそ花型が定められており、最もバランスのよくとれたよい花形を選定して、出来上りの美しく見える様に考えられてあるのです。これがいわゆる伝統の形式ともいえるものです。生花を習う人達は以上の様な生花形式によって、数多くの花形を練皆してその古典を知り、同時に生花の技法を習うことが普通となっています。考えてみますと、古い形式と技法Rューカリ樹の枝を生花に活けました。こまかい築のものを選んで柔軟な花形を作っています。p2のハシバミに比較すると下部の留の部分が長く、こんな花形を「留流し」といいます。材料は今日的なものだが花形は仏統形式のいわゆる品本型ともいえる形です。生花にはこの様に弘本的な花形と自然材料の個性により花形を変える垢合があります。Rつんつんとした柿の木、それに紅葉の細いかんぼく「鳥まらず」を寮せ合わせて真の部分、左方の副の部分を作っています。柿と鳥とまらずの配合は而白い若想といえるでしょう。柿の実と紅葉にも季節感があって、花器の「宗全篭」にもよく趣味が一致していると思います。紫紅色の渋い色の小菊を入れ、花形にしまりをつけています。を知り、それが上逹することが伝統生花を習う一般的な考え方でありますが、ここで私達は考えてみたいと思つのです。以上の様に伝統の形式を習い、やがて自分の生花を作ることになるのであるが、ただ、型の如く古典の形式技術だけに終始するのだったら、これは古さびた隠湿の芸に終るのではなかろうか、また、古い生花の考え方にあるように、季節の変るたびごとに、およそ生花の使う索材の花が定っており、その好みその考え方4R 生花の花器と花材

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