テキスト1976
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いつしか今年も六月になった。花展つづきのこの春はいつのまにやら桜が終わり庭の椿の花をゆっくりながめることもなく、すっかり青葉になってしまったが、例年のことながら夏に入るとさすが多忙な私にも人なみの休暇がいただけるようになる。例年八月にはどこか旅行に出かけることにしているのだが、今年は七月下旬から。ハリ周辺の旅行をフリータイムで出かける予定である。私の旅行は職業柄なるべく花のあるところへ行くことにしている。それも平索みられない自然植物の植生している状態をみたい、とそんなに欲張って考えるのだが、なにしろ八月(私の都合で)と季節が定まっているようなので、私の見分は大体、夏型でその範囲も行きずりのような狭いものである。このごろは園芸が盛んになって外国の花や実もの枯れ草など、変わったものが多く見られるようになるにつれ、一層あこがれを感じるのは自然野生の国内の柏物、いわゆる高山高地の花である。北海追のハマナス、ニ楽湖のマリモ、奥入類のミズバショウ、高野山のクマガイソウ、フタリシズカ、ヤマシャクヤク、乗鞍のクロユリ、上高地のフジアザミ、岡山北部山地のオモトの野仕地、京都附近の山地では北山花背の北山ザクラ、狸々袴、ヤブレガサ、東山山麓のハナイカダ、ムラサキシキプ、滋賀県の比良や伊吹山ではあまりにも多い野生の花をいくたびとなく見ている。その他に多くの野生の花を見ているのだが、植物図鑑などを見るうちに自分の印象を思い起こすことになる。山の旅に出てふと見かける花はいつまでも心の中に美しい香りを残すものである。たとえそれが草むらの小さい花であっても、想い出の中には見えかくれする星のように、消えてはまた折々にその色彩を思いうかべる。ッコウキスゲの野生地、阿美しが原のマツムシソウ、ヤナギランc ナナカマドスイレンこのテキストに掲載した盛花の花器をよくごらんなさい。いろいろな花器がありますね。11個ですがそれぞれ形に変化があり、陶器の質も変わっています。が大きいカッ。フ型のカットガラスです。(チェコスロバキャ)こんな花器には色彩の強い洋花がよく調和するし広い葉もの、緑のたっぷりとした中に白色紫色、小量の赤い花もよくうつります。外国陶器のシチュー鍋のふたをとって花器に利用しました。二つある手の形が変わっていますね。上、テッセンの花器は腰高水盤、白地に藍絵のトウモロコシの図案があります。季節感のある花器です。(清水)器。これは浅い水盤です。盛花の花器というよりも水草盆栽の器、または盛り果物にでも使う水盤で平らな面に狂いがなく美しく仕上げられています(濃青)p4の上、備前の大きい水盤、たっぷりとした水に花がよくうつります。その下キキョウの花器(清水)洋式がかった感じの花器です。ガラス器の鉢、白色に黒色の線が花を引き立てています。青磁耳附の腰高水盤。これは京都焼の名作です。なんとなく品格のある花器。案のある藍絵の鉢、P8の下は備前焼の伝統水盤、P9は鉄砂手附鉢゜いろいろな花器がありますね。P1はガラス器ですp2の花器はこれもp4の下、スイレンの花P5のナナカマドの花器はP6の花器はp7の上白磁にテッセンの図p3の5

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