テキスト1976
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蓬1、.g~た:ーiむJt^:.§9··1ふ~··べ‘.. …§t 花屋の店頭には花の種類が多くみられるのですが、注意しないとこれという個性のない花が余りにも多い季節といえます。湿室咲きなればこそ姿のよかった花の類も目然咲きとなると屈じのよくないものも多いのです。たとえば都忘れ(野菊)。ハンジー、アネモネの様に見た目には美しいが、手にとってみると深みがありません。かんぽくの花の類も新芽が立ち花もはっきりしない性質のものも多いというわけです。まった<五月は花が沢山あるのにいけばな材料として、、かしい時期といえます。これは今はじまったことではなく、何十年の昔から五月中旬ごろがいちばんいけばな材料の選び方のむずかしい季節なのです。質のよい牡丹、カキツバタの清新さを好む、といった考え方なればよいのですが、草花の平凡なちょっと見のよい材料は、結局、よい盛花や瓶花を作りにくいことになります。一方、木ものは若芽立ちのものが多い、というわけですから、その中で初夏らしい清新さを作ろうとすると中々むずかしいのです。温室咲きの花の華麗さを少し忘れてみましょう。季節も少し汗ばむ頃ですから緑の多い清新な感じ、さっぱりとした感じのいけばなが好ましいことは当然です。五月は木の若葉選択のむず五Jjの方が材料の柔かい関係もあっには少し早いし、ちょっと中途半端な季節といえます。また五月はカキツバク、ボタン、バラ、ツッジなどの他には個性のはっきりした花材が少なく、したがって作品にも注意せねばならない特殊な季節です。六月になると木の若葉もかたまり新緑の美しい季節になります。木の若葉に草花のあしらいをそえて、すがすがしい瓶花、盛花を作る様になり、いけばなも及の衣裳がえをしたような新鮮な姿になるのです。草花もキキョウの早咲きがみられるようになり、それに百合類、その中でいちばん好ましいのは「ささゆり」でしょう。ドウダン、ナッハゼの若葉青楓にそえた笹百^11の調和は、一年中の花材のうちでも殊に季節感の深いものです。スイレンの花、コウボネなどの水草を紫菖蒲に取合わせるとすっかり夏の姿です。若葉のユキヤナギの葉を添え広い水盤に活けるのも初夏の味わい深い花です。六月の花は比較的水揚げもよく、むしろて日持ちが悪い、ということがいえます。花菖蒲は五月はじめから早咲きの花が見られますが、しっかりとした大輪の花は六月に入ってから咲きはじめます。六弁花、九弁花など見事な花が見られるのも六月に入ってからです。@ ノゞラノぐインコーンパインコーンは外国種の松かさ,かなり大きく,褐色の色が美しい。副材にクリーム色と濃いオレンジ色のバラをつけて黄土色の方形水盤に活けた。パインコーンのまるくかたまった形に調和させてバラも低く挿し頭を揃える様に花形を作った。

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