テキスト1976
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この月のテキストに掲載した作品は盛花瓶花をあわせて12作あります。時節柄なるべく華々しくない様に木ものに草花をつけて二種挿、ボタンやカキツバタの様な材料は一種挿しにして清楚な感じに作りあげています。三月や四月にくらべて色の強くないもの、派手な花は分量を少なくして淡泊な感じに仕上げる、花器もそれにふさわしい様な淡泊なものを選ぶ様にします。木ものにつけた章花も形と色の強くないよう分最を少なく使うといったように配慇したいのです。季節が暖かくなるにつれて花材の配合もしつこくない様に注意することが必要です。洋花は一般に色の強いものが多いので、それには緑の葉ものをつけ、また木の葉の枝ものなどをあしらって色を押さえる様な気持ちで落秤きのある作品に仕上げます。草花を何種も交挿するような考え方は、冬から早春にかけては美しく逃かな感じに見られるが、五月の初夏になるとむしろ淡泊に仕上げるのが好ましいのです。二月、三月の早春の頃もこのごろの晩春、初夏の季節も同じ様に材料を選ぶのは考えものですし自分の作品を引き立つ様に見せるのは、主として花材の配合が大切ですから季節のうつり変りによって取合わせを考えていく様に注意したいものです。c シャクナゲナナカマドアマlJリスカーネーションホウの木ヒマワリR黄みどりの若葉をつけた「ナナカマド」の木、これにカーネーションの淡紅色の大輪花4本をつけて瓶花にした。花器は白い手附陶器で明るい感じの壷である。も種類が多くこれは一般的にライデナナカマドにンと呼ばれ、五月に緑色の花を咲かせ夏季に実を結び、11月頃には葉が紅葉、実も赤くなる。風雅な木振りに新緑の若葉、それに淡紅のカーネーションの配合は花器とともに新鮮な感じの瓶花といえる。淡い緑の葉には淡紅色の花、また濃い紫色の花など調和のよいものだが、この写真のように雅致のある木ものにカーネーションの様な洋花が調和するのは、色彩の明るさ、という点に一致点があるのであろう。かきつばたや花菖蒲の濃い紫色の花など、よく調和すると思われるが、黄色の花はよくないし、また白色でも洋種、ソャクヤクの大輪花などがよいと思われる。総じて強い木振りの材料には小さい花の草花よりも大輪咲きの色のはっきりしたものがよく似合う。木ものはどの場合も枝葉が前後に重なって複雑な形があるのがよく、重厚なもち味が木もの枝もののよさといえる。写真では充分出しにくいので写真効呆のよい様な単純な形に活け上げるのだが、もっと前後に重なりのある形がよいわけである。2 R ⑧ R

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