テキスト1976
45/149

◎アカメヤナギ3本に白椿(ほんあみ)の大輪花を添える。細い線の材料と広葉の材料との組み合せで調和がよい。アカメヤナギの柔らかい曲線が軽やかに美しい形を作って立ち登っており、それと反対に椿の群がりが落培きをみせている。秋十月から春三月まで活けられる配合だが、好ましい取合せといえる。花器はドイツ製のワインクーラー(酒瓶冷し器)で楕円形の形がひきしまっており花器に使っても調子のよい器物である。銅のうす板で作ったこの容器は左右にしっかりとした輪がついており、これが装飾になっている。陶器の場合もそうだが、こんな楕円形の花器は一方の隅に剣山を饂いてもよく、また中央に剣山を置いて株をまん中にすえ、左右をあける様に水面を見せるのも、よい感じに見られる。いけばなが早く上手になるにはどうすればよいか、一生けんめい真面目に熱心にけいこすればよい、というのは当然のことです。その上、も一っ大切なことがある。それは材料を豊富にもつことです。少い材料の「きたきりとんび」では稽古も簡単にすんでしまうし、修正することも出来ない。厚味のある花も作れません。生花の場合も盛花、瓶花も同じことです。材料がたっぷりあれば、ゆったりとした稽古も出来るし、稽古の花といえどもよい作品を作ることが出来る、ということになります。少ない材料では、すぐ出来てしまって、これでよろしい、というより致し様もありません。皆さん材料はたっぷりとお持ちなさい。そして理想的には上例の材料を使うことです。よい材料を使うとどうしてもよいお稽古が出来る、ということになります。これは花屋に頼まれたのではありませんが、花代は少々高くついてもよい花を分量たっぷりと使うことです。そしてお桔古はねばって時間をかけて下さい。活け始めたかと思うとすぐ出来ました、というのは感心しません。もう―つの考え方は値段の安い材料を数多く使うよりも、少なくともよい、よい材料を数少なくITu貝うという考え方です。三級品の菊5本よりも一級品の菊2本の方が、たっぷりと見えるということです。よい材料は美しく水揚げがよくその上、日持ちがよいのが普通です。皆さん、よい花をお買いなさい。これが早く上手になる秘訣です。花の材料は3 cアカメヤナギ白.-椿

元のページ  ../index.html#45

このブックを見る