テキスト1976
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⑲白ボケ、ハワイ産のゼンマイ、壷に活ける。花器は京都の陶芸家近藤豊氏の作品で、新しい感覚の壷である。かなり大きい瓶花で横2メーター程度のひろがりがある。太いボケの枝はかなり永い年間をへたものだろう。これに調和する様に、太く長いゼンマイ(シダの若芽)を添えたが、力強い作品になった。花器の重量感とよくバランスのとれた瓶花を作ることが出来た。← この二種をまるい配合というものは面白いものである。ボケの褐色の太い幹、複雑な枝の重なりにゼンマイの褐色がよく調和し、ゼンマイのまる<巻いた曲線の褐色が鈍重な感じである。ボケの強い力とバランスがとれているのであろう。口もとと胴張り大きい壷との調和もよい。はっきりとした個性のある作品ではないか。この花器は白色に淡い褐色の点描の図案があり、一部に濃褐色の太い線が描かれている。⑱ ← ⑱朱色の大きい壷である。大きい割に口が小さい。直径4センチ程度しかない。このバランスのはずれた形がこの壷の特徴であり、花器としての而白さを感じるのである。これは若い陶芸家の作品であり下方の形が一方にふくらみ、左右が一致していないのも而白い。高さ1メーター程度でかなり璽量がある。花材はサボテン、フジヅル、それに熱帯地方の植物の枯実を加えてある。またスタージスの枯花を足もとに加えて挿した。花器には水を入れないで活け上げた。この作品にはサボテンという特殊な材料に調和するように他の材料を配合し、花器の朱色に黒い線条のある、強い感じに調和する様にも考えた。壷の大きい而を藤ツルで巻いて、大きくゆったりとした変った調子の作品といえる。これも会場の中の異色ある作品であった。今度の花展には厚い敷板を正方型、又は長方郡に切らせて花器の台に沢山使っている。強い瓶花や立花などに黒色の塗り板や花台では弱い感じなので、特に松やけあきの木目の変わったものを選んで敷板を作らせた。⑳ミリオクラダス、ムギ、セイヒツバキ(白赤の花、フィリ葉)の三柿を染めつけの水盤に活ける。温和な感じの盛花である。こんな温和な花は、会場では引き立たない。平凡な作品である。会場の作品は特徴のある個性の強い作品がよいと思うのだが、入場者の皆さんにこんな温和な盛花もお見せすることも必要だろうと思ってこれを活けた。... フジッ}レサボテン枯実10

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