テキスト1976
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Rスイセンを8本、を長円形の水盤に挿す。水盤の右方に脊せてひと株にあつめて、左方に白椿をひと株入れる。中央に水而をみせて分体花形の花形に作る。この盛花は自然趣味の温和な感じの取合わせだが、出来上った作品からはかなりしっかりとした感じをうける作品である。写真が大きい、というだけではない。その挿し方とそれを作ろうとする気持ちがかなり強くあらわれている。スイセンの挿し方もいけばなの型にとらわれず、むしろ自然に植生している様な花と葉の調子、群がって咲く土のままのスイセンの姿、そんな感じに仕上げようと、葉ものびのびと入れ花も頭を揃えて、その技巧をつとめて見せない様な挿し方に気を配った。白椿の方も大まかな感じに入れたが、左方へのびた直線の茎にスイセンに対比する線の強さを見せていると思う。椿の前へ重ねたスイセンの葉二、三枚、こんなところに技巧がある。この葉で左右の花形を結んでいる。流暢な感じの盛花である。盛花、瓶花を密う人逹はまず基本花形によって形のバランスをおほえ、同時に技術を練翌する。上逹するにつれて型から離れて、自由な自分の考え方をその作品に加えてゆく。さらに自然栢物の生育の状態を考え、その素材となる草木の自然の姿をどんなにして花器に表視しようかと考え、さらに作品の中に自分の意思をはっきり示すことの出来る様な表現力が必要になってくる。この写真の様にスイセンの花頭をひと揃えにして野生の感じを出そうと考えたり、椿の直線の鋭い横線をさし出して、作品に強さを作ろうとする、そんなはっきりとした意思を作品の中に示すことが大切なのである。セン、の壷に活ける。ことも珍しいのだが、茎ののびやかな線に特徴がある。左方に高くのびた杉の線と右方に高くさし出たスイセンの花と葉との対照で花形が出来ている。ェンコウスギ(猿狼杉)にスイ白色バラの三種をオレンジ色(ドイツ陶器)エンコウスギは瓶花の材料に使うる。金蓋銀台、雪中花、長寿花、春玉などといわれ、金紫銀台は金色の盃様の花冠が白い花弁の上に座している花、雪中花は雪を凌いで咲く花、また「水仙」は「天仙」に対して水に咲く高貴な花、という意味の雅名である。香気と清楚な姿が愛好され、この雅名が名づけられたものであろう。7 R⑧

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