テキスト1976
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この盛花は11月7H、家元冨春軒で行なわれた師範学式の会場に飾った装飾花である。二階広間に約七十名が集まったので、そのまん中にこの盛花を置いた。したがってこの作品は四方に裏表のない卓上花の形式に作ってある。かなり大きい盛花で、花材はまっ白の洋蘭デンドロビュームと濃い紫色のトルコキキョウ、緑のスプレンゲリーの三種で、浪緑色の感花器に活けた。この様な多面形式の盛花を作る条件は、中央を低く挿して横へ前後左右に長く花材をさし出す様に形を作る。最初にスプレンゲリーを挿して大体の調子をきめ、次に中央の花から挿す。活けるとき花器を廻して裏表のない様に、周間を同じ形と材料の配合を考えつつ、その中に色の配合と高低の差をつけて、花器を廻して仕上げて行く。また、周間に廻りつつ挿し加えて行くのもよい。一方だけ形がよくても裏面にさしさわりない様に、いつも周囲よりの花形を考えつつ作り上げて行く。この形式には木ものの花材よりも、洋花の草花がいちばんよく副和する。なお、この盛花にはカトレアホルダーを使用している。8 多面体の盛花R

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