テキスト1976
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R手附篭にトウウチソウ、山菊の白と黄を添えて活ける。秋草のなごりともいえる篭入れの花である。ソウは渋い紅色の穂状の花でワレモコゥとよく似ており初秋の山草であり、トウウチ単弁の山菊(サンギク)とよく調和する。篭の花には軽い草花がよく、野趣の花がよく調和する。篭は春より秋にかけて多く使われる花器だが、色附けの篭なれば冬季に使ってもよい。手のよく見える様にその前後に軽やかな感じに入れる。た年国の花があった。偶然と同じ様な花を入れたのだが、同じ花形であるのが而白い。)(10月号にこれとよく似花の数は奇数でないといけませんか、4本はよくないですか、というような質問をうけることがある。今日でもそんなことに気をつかう人達の多いのも事実で「気になるのだったら、5本か3本にすればよいでしょう」など、平凡な答えをすることになるのだが、どうも古臭い考え方で「その必要なし、いけばなが美しく見えるように自由に使うべきで、数に制限はない」というのが正しい考え方である。ただ、それが気になる人達、また、かつぎ屋さんで気にする人達の花を活けてあげるときは、四や六など隅数はやめた方が無難でしょう、という程度である。また、菊の大輪花の色を交えて数多く活ける場合、どの色を上方に置いたらよいか、などという質問をうけることがある。事実、日本の古い時代では色の上位下位を定めた習慣があって、紫が上位、白色が中位、青色が下位などという規定(たとえば神職、僧侶の式服の様に)があり、それが一般庶民の考え方の中に定若して、紅白は祝儀、水色、黄色は弔事と生活の中に翌慣づけられている色もある。いけばなの古典では、その栢物の固有色を認璽する習慣があり、これが伝統となっている。例えばカキツバタは紫、菊は黄色、ボタンは紅色、ナンテンは赤、梅は白、というようにそれが花の主位の色でありその花材を混色する場合はその主位の色を上位にもってゆく、という伝統があるのは事実である。しかし、今日のいけばなの考え方では、そんな形式的な約束は段々と忘れられて、色彩本位の自由選定でゆくことになっている。ただ生花の中の約束、たとえば葉組みものの規定などは伝統の形式を守ることが、作品を作る上での肝心な技法となっており、これを護ることが大切とされている。4 R とううちそうさんぎく

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