テキスト1976
14/149

50年4月師範の資格をとるまで、主元東映女優、千原しのぶさんの京都嵯峨野に近いお宅を訪問する。広大な植木畑のまん中、「常盤」という閑静な町に千原さんのお宅がある。「千原しのぶ」は映画と舞台のお名前、本名は「石原知子」さんである。岡山県久米郡の旧家に生まれ、幼少のときから日本舞踊の名手、その後、片岡千恵蔵氏に嘱望されて映画界に入る。大変趣味の広い人で生花を桑原・好疵流北村殿緑氏に入門、として生花の勉強と盛花、瓶花の研究まで、多忙な中につづけられている。特に書道は堪能、全日本書道学院の副理事長として、現代書道新進作家として有名であり、ことに明るい作風を以って知られている。その他「きものと書」に関する創作、「きもの着附」に関する指辿など、多オの人である。現在、常盤において料亭「千原」を経営、また経済誌「報道ニッボン」のインタビュアーR R緑の樹林の道を歩きながら⑧千原さん素子さんの風流対談として、沖縄と東京を飛んで独自の仕事を開拓されるという、実に精力的な人である。この七月京都南座に出演、栗塚旭、入江若葉、林成年その他の俳優の皆さんとともに主旗女優の千原しのぶさんの美しい舞台姿を見ることが出来たのは、つい先頃のことである。素子して、ご立派なのに感動いたしました。いいお芝居でしたし、ことに美しい千原さんのお姿と、舞台をひきしめる様なお役柄がとてもよかったと思いました。千原素子時々、お茶を点てる場面やお花を活ける場合を見ることがあるのですが、もひとつしっくりしていないことが多いのですが、千原さんはどんなに思ってられますか。千原す。なにしろ舞台のお花など小道具さんの係りなので、時とすると時代劇の床の間に洋花が入っていたり、また活花師匠の看板がかかっている家に下手な花が入っていたりして、多芸はっとすることがあるのです。ことに映画の場合など、カメラの位置でいけ花が横から写っていたりして、この間の南座のお舞台を拝見有難うございます。映画や劇を見ておりますと、そんなこともあると思いま映画が出来上ってからそれが目立って気になりますね。素子このあいだもありました。「私の心をこめて作った庭のバラの花を貴方にあげます」などといって造花のバラをさし出すなど、ちょっとわびしい感じがします。ところで千原さんは岡山県の御出身だそうですねえ。千原久米町という津山市に近いところに生れたのですが、学校は津山市の美作女子高等学校の出身です。子供の頃からお茶やお花が好きでした。私の祖母がお茶が好きでして、これは巾訳ないお話ですが、終戦の八月十五日に祖母が私の家で茶会をいたしまして、私ども家族に殺伐のそのころの生活にうるおいをもたせるようにといって、庭の芙蓉の花を活けて床の間に飾ったのを覚えております。なにしろ中国地方のまん中である津山でも空襲があるというので終戦の一週間前に津山城の天守閣がとりこわされました。ほんとうに惜しいことでした。素子先日、北村先生の生花展が御池通の嶋台会館でありましたが、そのとき花席に千原さんの「樹根に洋花をあしらった作品」を拝見しましたが、中々ご立派な花でしたね。千原おはずかしい花でしたけれど、樹根にカトレア、アマチャ、白椿を添えた装飾花の様な作品でした。私は個性とでもいうのでしょうか、\ -、,.. , .. 女優千原しのぶ桑原素子(対談)@ ← 10 . • I -~ ,'. ・. 一-✓.'., 心趣味のいけばな

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る