テキスト1976
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⑪この私達、日本人の生活にはどうしても畳の生活や、ふすまと床の間、床の問は段々不必要になってきたけれど、ほっとしたやすらぎには畳と座布団の生活は切りはなせない。その部屋に飾るいけばなも、伝統生花はとにかくとしても、瓶花、盛花も落着きのある日本趣味の花がよく調和することになる。洋花を見る機会が多くなり、活けることも多くなるのだが、やぶ椿に水仙の投入れや、杜若の一種挿、おみなえしにりんどうの様な静かな趣味の花、また椿の一種挿など、日本のいけばならしい品格と落箸きを見ることが出来、自然と花の配合というものは私達の心に風雅を感じさせることになる。私達、花を活けるものはこの風雅ないけばなと、また別に洋花の新鮮さを巧みに使いわける考え方が必要であることは当然であろう。ここに掲載した3作は盛花、瓶花のうちの温雅な感じの作品であって、最も一般的な家庭のいけばな、雅趣と美しさを見る作品といえる。また、普通、いけばなを習う人達のいちばん多く活ける趣味の花ともいえる。。ヘージの瓶花は、サンキライに白椿の瓶花である。すす竹の寸筒にやや赤く色づいたサンキライを垂体の形に入れ、副材に白椿の開花とっぽみを交えて3本そえて晩秋らしい落着きのある作品を作った。サンキライのみずぎわを高く上げて、その左方から前方へ低く白椿を入れたが、椿の白い開花と葉の上に重ねる様にサンキライを童ねたが、この花形は軽やかな枝さばきが感じられ、雅趣のある瓶花となった。⑫松と山イバラ、ける。自然調の配合で秋らしい季節感のある作品といえる。右勝手の斜体の花形で、のびやかな調子の花形である。細い松の幹とイバラの枝の軽やかな形、それを引きしめる様に菊の花と葉を添えて、品となった。前方のイバラの軽い枝が大切な役割をしている。紅菊の三種を黄土色の広口花器に活全体に落若きのある作⑬モンステラの大葉2、小葉2、淡紅色のバラ5本、トウウチソウを3本、この配合で盛花を作った。基本形に近い応用花形で、花器は紺色の大ぶりの鉢である。チソウ」はワレモコウの一種でさびた紅色の花梗がうつむいて房状に垂れている。高く前方へ垂れたトウウチソウがバラの淡紅色と菫なって軽やかに美しい。「トウウバラとモンステラの配合は普通だがトウウチソウを加えたので、全体の調子に変化が生まれ、紺色の花器とともに色彩も効果的である。淵和な配合だがのびやかな感じ。の花である。どの作品の場合も同じことがいえるが、こののびやかな調子を自分の作品にも作って欲しい。ノゞラ⑫ 松⑬ モンステラヤマイバラ紅菊⑪ トウウチソウサンキライ白椿⑪ 8

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