テキスト1976
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前月号とこの月号のテキストで「生花について」のお話をつづけました。生花の考え方について書いたのですが、皆さんは同時に掲載の作例写真をごらんになったわけです。私は皆さんに生花を活けるならば、はっきりとした技術、趣味のよい生花、古臭い生花を活けるな、また索材の花の種類も広く自由に選ぶ様にするのがよい。以上の様な点について私の思うところを述べたのですが、前月号今月号の作例写真を見〔〔8て、実際作品が私の提唱する意見と同じ様に出来ているでしょうか。話だけ立派であっても実際作品がともなわなければなんら価値はありません。この点について駆じるのですが、技術の点はとにかくとして二十作ほどの作品を見ると、その中に、メモドキ白椿1月号〕柿トリトマラズ(P5)12月号〕白椿一種(p3)。ウ(p4)。ダリア6) (P2ー)。白椿スカシュリ(P7)。チューリツ。フ(p7)。ケイトウとナラの葉と小菊一層責任を以上の8作はやや新鮮な感じのある作品といえると思います。その他の作品は伝統の形式によったもので、花材も一般的なものですが、とにかく「テキスト」方的ではなく形式的と思われる作品も、野心的な自由な心をもった作品も、いずれの系統の生花をも収録す(P9)。スイセン洋蘭(Pの性質から、一仏統の竹器、一重切筒の生花です。赤い実のついたサンザシの木は古雅な趣味の材料ですが、12月に入ると実も熟して深い赤色になります。二里切筒にも大小がありますが、この程度になるとしっかりした花が入ります。古風な花器ですから洋花の類は調和が悪く、技術的にも日本秤の木の材料がびったりとします。写真の作品の様に花器にふれない様に枝をさし出すこと、全体の花形が花器より強く右前斜の位置に出ること、竹器に枝葉のふれないことなど、技法上の注意を必要とします。従って特殊な調子の変った花形を作らねばなりません。普通の生花とは一調子変わった技巧がいることになります。る必要がありますから、それらを配慮してとり上げているのです。この20作の生花の中に通じて考えられることは、生花の技術がよいか悪いか、という点です。写真では充分にはわからないのですが、ことに色彩がありませんからこの点残念ですが、およそ解っていただけると思います。これらを通じてわかることは、私のいう生花の「自由」というものは、そんなに突飛なものではなくさんざし小菊新鮮な感じを今日の花器に新しい花材を/ もつこと

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