テキスト1976
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しずかな十月の秋にも溌刺とした新秋がある。秋らしい感じをうけるようになった。この10月号テキストの花を活けたのは9月14日だった。初秋の花もようやくしっかりとして九月は秋草のシーズンであるから、やさしい山野の草花を活けるというのがおきまりの様になっているのだが、それだけではあきたらない気持がするので、この10月号には自然趣味の作品6点と、それとは別に明るい感じをもつ作品6点を作って、その考え方をお話しすることにした。秋の花材は大体において風雅枯淡といった材料が多く、呑の花の様に明るさに乏しいのだが、また、考え方によってはその枯淡な感じの材料を明るく見せる方法もあるものである。材料の配合といけばなの形、色彩、花器などによって明快な感覚に作りあげるのだが、この作品写真の中に祇い材料を明るく活けてあるところ、花器との調和など注意して欲しい。専渓赤い実のつくムシカリの木,ケイトウの2種を黄土色の変形の陶器に活けた。赤色の実と紫紅色の二種の配合である。ケイトゥの葉をとりさ毎月1回発行ムシカリケイトウ花桑原専慶流って緑色を入れていないところに考案がある。変わった感覚をつくりだすためにはなにか普通でない工夫が必要である。編第発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元10月発行1976年No. 160 しヽけばな

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