テキスト1976
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R赤褐色のヒマの葉、実と茎は紅色に色づいている。水揚げのよい草だが、形が悪くあまり好ましい材料ではない。て調子の変わっているところが面白いので、これを生花に活けることにした。しまりの悪い材料だが、ひま白花りんどう副材の白花リンドウを入れて見ると、色のを真の前へ入れて変化をつけた。配合もよく、リンドウの緑の葉と白い花がヒ夏季の材料とし真、副、胴に一本ずつ、実の茎マの紅褐色と調和して美しい生花となった。生花には活けることの少ない材料だし、活けにくい材料だが、リンドウにたすけられて意外によい花が出来た。花器は群青色の陶器である。リンドウは生花にはもちろん、瓶花に使う場合にもなるべく細い、花の少ないものが上品にみえる。まん中に入れるリンドウは、中段から二つに切りわけたものを使うと、意外に使いやすい。私はたべものが随分むずかしいらしい。自分ではそうでないと思っているのだが、一般の評判によると中々うるさい、ということになっている。アルコール類は一切だめで、珍味と称するすずこ、このわた、うにの様な工タイの知れぬものは食べたことがない。牛乳は子供のときから飲んだことがないし、このごろはやりのラーメンやシューマイなどといったげてものは全然駄目である。そんな次第で今度はじめて海外旅行をすることになって、いちばん問題になるのはこのたべもののことだった。日頃訓練が足りないとこんなときに困る。外国へ旅行するのはよいが、さてたべものはどうだろう、と考えるのは私だけではあるまいし、とにかく持って行ったのは、カッ。フライスと称する赤飯と、赤だしのもと数個。こんなもので12日間もつわけでもないし、どうなとなれと決心をきめて、とにかくパリのドゴール空港に苦いたのは七月二十四日。。ハリには日本食の料理店もあるけれど、折角行くのだから、。ハリの料理を楽しんでいらっしゃい、というM氏の言葉をうわの空でききながら、さて、いよいよその本悉になってきたのである。セーヌ河畔にあるニッコー・ド・。ハリという日航経営のホテルに入ったのだが、悪い日本趣味の低俗さにげっそりして、とにかくここでは食事をしないことにきめ、M氏の助言にもあった様に町のレストランに行くことにした。結論からいえば本場のフランス料迎は実に美味しかった。行いた日から最後の出発まで日本料理など、すっかり忘れてしまって、もっぱらフランス料理オンリーで過ごしたのだからこれは話が違うのではないか、と思われるのも無理からぬことである。こうなると段々あつかましくなって、(ルド・ワイヨン)(マキシム)といった料理店から鳥料理専門の(ラ・トゥール店まで、とにかくこの際、パリの味覚を研究することとたぺずぎらい(ラセール)・ダルシャン)といった一流.... 8••••••••• 生花R

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