テキスト1976
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R白竹の篭(かつらかご)にリンドゥとベニシダを活ける。自然の野趣である。この(かつらかご)は茶席に使う場合が多く淡泊に数少く入れるのが一般的だが、この篭の投入花は分量もたっぷりと入れている。庭のベニシダ(葉の裂が少し赤い)は水揚げもよく秋草などにあしらうと調和がよい。リンドウの細い茎のものを選択すると軽やかに見える。c ナナカマドR八月中旬になると山裾のかんぼく地帯に柴栗(シバグリ)の実が目につく。ひきしまりのある枝を二、三本、すすきを一、二本、白花のリンドウを十本ばかり取合わせて、黄土色の柚長の鉢に活ける。この盛花は低い花型に作ったのだが、すすきの茎の上部をとり去り、下葉のついたものを低く横に葉の出る形に挿したのが特徴。軽やかな自然の趣がある。ケイトウ(いちょうけいとう)cナナカマドの実(ライデン)とケイトウを配合した立体調の瓶花。褐色の渋味のある壷を選んで、古雅な慇じの瓶花を作った。直立した二種の花材を配合して足もとに空間をつくること、奥深く前後にならベる様に考えて壷に挿した。色彩的にも秋らしい趣があり、花器との調和もぴったりとした初秋の花といえる。壷の中に剣山を入れて留めた。パリの中心から南西18キロにベルサイユ宮殿がある。宮殿の内部もすばらしいが、庭もまた美しい。広大な芝と花壇の各所に写真の様なフラワーベースが飾られており、バラ、ゼラニューム、ペチニアなどの花が植えこまれている。盛花の様に周囲にまるく花が垂れて、その形が技巧的にも美しい。ベルサイユの花専渓3

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