テキスト1976
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った。このうやく初秋の花材が見えはじめているとはいえ、なんとなく弱々しく充分なもち味が感じられない。このテキストが皆さんの手もとに届くころは、秋草の類もしっかりしていることだろうと思う。を迎えて咲く秋草は温室栽培も冷涼栽培もきかない自然の花この月号のテキストは、九月の草花を中心にして作品を作のいけばなを写真にしたのは8月23日で、よ九月に入ると新しい秋の草花が咲きはじめる。自然の季節12作が多いのだが、私達はその自然の情趣を好ましく感じ、ことに山野に咲くその情緒を愛するのだが、同じ秋の花であってもコスモスやダリアやサルビアの様な洋花に感じられない日本の草花に心を通わせるのである。女郎花、藤袴、野菊、すすき、秋海棠の様に、晩夏と初秋のそのうつり変りの季節をやさしく彩る自然の草花、また紫苑、はげいとう、草藤の様に栽培の花の中でも日本趣味の材料を好んで活けるのが、初秋のいけばなの特徴といえる。山木の実ものも面白い。さんきらいや山藤の実も風雅である。四季のうちでいちばん自然の情緒を味わうことの出来るのは九月のいけばなである。もしおおざっぱに区別をつけのであったならば、三、四、五、六月は華麗な春の花、ことに洋花を多くまじえて挿ける。九、十、十一月は風雅な自然の梢趣をいけばなにする。十二、一、二月は枯淡な中に冬の樹木の風情と実ものの雅致、椿、すいせんの様な静寂な情緒、それとあわせて、新しく咲きはじめる糾室花の華麗さを楽しむ。それぞれ季節によって材料のうつり変わりによって、いけばなの姿も趣味にも変化をつくって行くのが好ましい。秋草の九月専渓~~屯て芥<ii,."""● "' 破毎月1回発行桑原専慶流編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元1976年9月発行No. 159 しヽけばな

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