テキスト1975
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(透明ガラス器)彫刻図案のないガラス花瓶(池8の様に)は、花瓶の内部がはっきり見えるというところに特徴がある。ガラスを通して見える水と茎の美しさ、ここに透明ガラス器に活けるいけばなの技術がある。茎の美しい材料を選択すること、いけばなの形の美しさはいうまでもなく必要だが、それと同時に水の中の茎の美しさをつくる、という考え方が必要になってくる。時として、花瓶の水中へ大輪の花を入れ、緑の葉を入れて、ガラス面を通して見る様なテクニックも生れてくる。夏季の花にはことに好ましく、色彩と清爽感とを見る意匠的ないけばなとなる。これはガラス器の―つの使い方といえる。ガラスを通して見るすべてのものは、実際に眼で見る場合とは10。ハーセント程度みえかくれて、おぽろに見えるというのが定説だが、また水中にある花や茎は実際よりも大きく、太く見えるのが普通であって、そこに夢幻的な感覚をうけるものである。したがって、ガラス器の花材を選ぶとき、ガラス器に適する効果的な材料を選択することが大切である。これは不透明ガラス器、色彩ガラスの場合も同様である。つる」ということを計算に入れて、美しい処理が望まれるのである。「株もとがガラス面を通してう④と⑤はカットガラスの花瓶である。厚いガラスに彫刻したものこの二つの花器はイタリア製である。日本趣味の瓶花を活けた。④アジサイキキョウ⑤ タメトモユリナッハゼ⑤ ④ 3

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