テキスト1975
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最近、籠作家と称する若い人逹のグルー。フが河原町辺りの画廊で作品展をひらいているのを見かけるが、よく出来ていると思うような籠はほとんどといってない。工芸家のような気持になって不勉強な仕事を新しがってならべているのを見ると、いよいよ籠も終りだな、と思うのは私だけではないだろう。若い竹細工師が竹器3伝統と技術を深く考えないで、新しそうな体裁をつくろってみても所詮、その本質から遊離してしまうにすぎない。技術の難しいものだけに日本の籠の伝統を護るような真剣な考え方と、たとえ職人的な技術でもよい、年期の入った真而目な仕事を見せて欲しいのは私だけではないと思っ゜R焦籠の形である。くわしくは知らないが流れに沈めて樅いて魚獲する。そんな形からきたものであろうと思う。形として中々面白い。これにスモークツリー(煙り草)とハナショウプの葉を活ける。浪い緑色の花穂、白緑の葉がついていて外見のきれいさはないのだが、活けてみると意外にモダンな感覚をうける。プラックの洋画にある様な沈んだ中の明快さである。今度のテキスト写真の中で、私のいちばん好きな作品である。ショウブの葉を折り曲げたのも効果があったと思つ。R民芸屋で買ってきた手提籠、白<干しあげた柳の茎で作ったものと思われるが、これは外国様式の酒壕を運ぶ容器である。6月3日に活けたこのダリアはまだ早咲きの小輪の花だが、季節感があってこの籠によく調和している。籠によく調和したダリアの花、紫紅色のダリアと緑の葉が白い籠に美しい。先月号とこの月号のテキストに掲載した籠は約30個である。伝統的なものから、お台所用品の籠まで、考えてみると籠の種類も随分多い。これに活ける花にも変化があって興味深いものがある。r8R @

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