テキスト1975
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(たにうつぎ)数日来、曇りがちの天侯である。五月雨というのか冷えびえとして、雨は緑の木の葉を通して音もなく降りつづける。明日、近畿放送から「季節の野の花」という放送をたのまれたので、午後の晴れ間を見さだめて八瀬大原から古知谷、途中越えまで車を走らせることにした。今は京都の郊外の様に身近かになった北山の山峡も、車で四0分程度も走らせると、町の中を抜け出たようなほっとした気分を味わうことが出来るのである。ことに小雨の降る今日の天候では、人影も少なく樹木の緑とともに五月の栃に淡<かすんでみえ、さえざえとしたうるおいを見せる。E 春の花木が終る四月末からは、春の花と初夏の花との入れ変りの季節である。園芸栽培の花は和種洋種の花材にことかかないのに、自然野生の花は、桜、椿が終って山間に咲くコブシの花、ユキャナギ、ボケ、野翠回薇の花、草花のシャガ、ヤマプキ、フジの花、山ツツジも終り方の季節である。やがて五月下旬から六月になると夏の野生の花がいっせいに咲き出し、スイレン、コウボネ、ハスなど水辺の花も咲いて、野の花、山の花のシーズンに入ることになる。春から初夏にかけて、私達のいけばな材斜に使う、野の花と山の花、る材料を思いつくままに記してみる。乏t/t5,9‘1一,ti口h(やまふじ)手近かに採集できぞr.lー真-{{念`必,,ヽ' ``2-―「心,`*し`l7ャ`疇ー{`'心、’ぢ竺、、ヽ・クマ〉fし‘比`専渓10 ある花の記録~ 冨置戸で

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