テキスト1975
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色がまことに明る<美しい。料理が出始める頃から話題が日本のいけばなに集中してきた。私達のいけばなの考え方をいろいろ説明したところ、夫人は日本のいけばなは世界中、特にアメリカで盛んだが、いわゆるオブジェ的なものや造花でデコレーションしたものはきらいだそうで、御自分の家の中にも切花は絶やさないように心がけていると嬉しいお話である。自然からかけはなれて、作られたものはよくない、きらいだと将軍の御意見、そして京都の桑原さんのいけばなが好ましいし、それがほんとうのいけばなだろう、と笑い乍ら話される。将軍は自分の国のベッレエムに日本庭園をこしらえたいが砂漠地帯で水が不便であるが、一定の水を循環させれば植物も育つし、流れもこしらえられると楽しそうに話して居られた。そういえば昨日はお茶の方でどこか禅寺で半日過されたそうだが、お茶の話よりも話は禅や宗教の話題で終始したそうで将軍らしい知的な好奇心がよくうかがえる。会話は、お互の国の料理の話とか、文学、美術、或は将軍自身が考古学者でもあるそうなので、初対面とは思えない程うちとけて、かなり深くつっこんだ話もうかがったが、突然将軍は、貴殿方日本人は、ベトナム問題と、私達イスラエルアラプ間の中東情勢とどちらが興味があるかとの質問に、問題ですよIIと答えると将軍は”それじゃ、いつまでも私達の国に興味を持って頂けるような国際情勢を提供しましょうIIと笑って話された。そのうちデザートになり、別室で用意した花をいけてお見せすることにした。”そりゃ中近東最初に山桜の生花。隆吉がいけながら生花の来歴について話す。青竹に山桜はよくうつる。横で素子が、ばら、鉄線、なるこゆりの投入を、丁字留めの説明をまじえてゆっくりと色あいのよい瓶花を活ける。隆吉の方は桜を生けて、次にふくべの花器に杜若の生花、李朝の白磁の花活けに白椿の一輪挿し。椿を一度抜いて杜若と白椿の小品に作り直したりしながら色々とお話をする。両方いけ上ってどれが一番好きかと質問すると、生花より自然で自由な花形の投入の方が好きだといわれる。ウイスキーの水割りをくみかわしながら談笑。将軍には隆吉愛用のはなはさみを差上げる。夫人には素子の美しい鋏を。フレゼントする。6時半から11時ごろまでダヤン将軍を中心にして親しくお話することが出来たが、特に感じたことは、ダヤン将軍という方は軍人というより朗らかな学者といった感じを印象づけられた。又こんな要人夫妻が我々夫妻だけを招待しての日程は大変珍らしいことではないかと思う。事実明日奈良に行き明後日は東京で政財界人を招待して晩餐会を閲かれるということである。思いがけなくも私達は、この世界的な問題の人に会うことが出来たことを幸せに思っている。ダヤン将軍は私のさしだした「ダヤン」という本にサインをして下さった。この本はイスラエルの従軍記者の書いた最近のベストセラ(桑原隆吉)京都の河原町三条、もとの場所に、朝日会館ビルが三年ぶりに新装なって、三月一日オー。フンした。記念事業の一っ「いけばな桑原専慶流、隆吉素子二人展」に招かれて、八日午後のぞきに行く。華道家元の父娘展は多いが、夫婦。ヘアの催しは珍しい。七階ホール百坪ほどに、雄渾な松の枝ぶり、のこぎりザメの歯、バウムクーヘンの切り口のような大理石の肌といった素材を大胆に使い、可憐な椿、洋蘭などの風情も活かして、男女の対比や絡みの味を見せている。索直でしゃれた今日ふうのアイデアといえよう。(よみうりT>末次摂子氏の大阪通信より)制作部長(中央公論五月号)、。ヵ一月から咲きつづけた庭の「わびすけ」の白い花が、ようやく終りがたになって、その他二十種ほどもある椿も、すっかり落花してこれで今年の春もさよならである。例年つばきや桜の咲く頃は花をみる暇もないほど忙しく、花を活けるのにあわただしくゆっくり花を楽しむ時間がないという皮肉な生活を繰りかえす。岡山駅頭の花展を終ってまもなく天満屋で県展があった。ちょうど日を同じくして、京都大丸で京都いけばな協会の諸流展があり、これには当流から代表出品が七名、第1次に隆吉、素子、杉浦疫節の三作、第2次に専渓、西田慶永、塚本疫枝、翁長慶晃の四名が出品。今年の大丸展は力作が多く作品傾向が統一されてよい作品が多かった。岡山の県展に行く予定であったが、どうしても時間がとれず残念だったが失礼した。岡山の当流出品の方達には申訳ないが赦して下さい。ぼたんの晩春がすぎるとやがて笹百合の初夏を迎える。すいせんの一月がきのうの様に思えるのにはや夏を迎える季節となった。日曜日の休日さえもない私達に、この頃は土・日の休日があるときく。例年のことながら五月はじめは十日間の連休と休むのはいいがそのおこぽれで仕事の能率があがらない。私達にはやる顧ない連休である。ljBば豆猛批評7ご爪仇戸卯ふだle{ぶ迂(~九生—パ~~に~ /土o←゜,直一L Uj モシェ・ダヤン将軍のサイン~U,t_ バふべ] -~ 戸

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