テキスト1975
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京都は御所を中心にして市街が形づくられている。したがって京都に住む私達は御所の周囲を歩くことが多く、御苑内を通り抜けて目的地へ歩くことが多い。樹立の多い御苑内を歩くと車の雑音もなく交通のわずらわしさも暫く忘れてなんとなく伝統の典雅というようなやすらぎを得ることになる。四月十五日、押しつまった用事の中を今出川御門から中立売御門まで、思いがけなくも暫くの憩いの時間を得て歩くことが出来た。九日から赦された拝観の賑わいの中を、今出川よりの北御苑から烏丸よりの西御苑までの間のおそ咲きの桜をみる。北苑には枝垂桜(しだれさくら)が多く、西苑には有名な「車返しの桜」ーくるまがえしのさくら、がある。また紫哀殿には右近のたちばな、左近の桜で有名な桜があり、ちょうど満開の季節だが、この日はすでに盛りを少しすぎて終りがたの花だったが、幸いに写真のように美しい桜を撮影することが出来た。京都に住む人達も意外に御所の桜を見ない人も多く、遠隔の皆さんのためにもと思いこのページを作った。風雅と静けさの中にある伝統の建造物と桜の花の調和は京都らしい景観といえる。築地塀を背景にした北苑のしだれさくら7 R 紫哀殿のさくらR 天皇が車を返されたという「御車返桜」みくるまがえしの桜,~,.,.

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