テキスト1975
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京都の梅専渓社条Rさくらは大衆的の花であるが、梅は趣味的の花である。ことに梅は二月から三月に咲くという季節の関係もあって、まだ肌寒い早春の花であるから梅を見ていっぱい、というのは気乗りがしないのであろう。したがって梅は文雅の花、品位を認ぶ高雅な花というのが、梅からうける感じである。古い雅名に梅を「好文木」また「風待草」などと呼ばれるのは、古い文学、水墨画などに描かれ常に幽R 玄孤高の品格をもつ花木、ということからきており、いって、しずかな風が伝えてくるような花の香り、それが「風待草」かぜまちぐさーーなどと異名をつけられたのであろうと思う。あるが如くなきが如く匂う、などという幽飢の東洋感覚と趣味を同じくするのであろう。さて、梅は中国の原産といわれている。日本では埼玉、群馬、和歌山、鹿児鳥などが本場ということになっているのだが、梅は花を観宜する、「梅が香」などとというのと、実を採集するのが目的というのといろいろあるのだが、私逹は「風雅な梅」が目標だから、そんな意味で梅を考えてみる。梅花には多くの種類がある。江戸初期には五0種、明治期に入って一だが、現在は園芸変種もあり随分種類を増していることと思う。思いつくままに一般的なものを考えてみると、00稲類に及ぶと伝えられているの野梅(野生)白梅(単・重)紅梅(単.璽)淡紅梅(単・重)緑蒻梅、楽紅梅、枝垂梅、雲竜梅、脈梅ろうばいというのは中国原種の梅で、一月二月のころに咲き俗に南京梅、胴梅などといわれている。淡紅の梅「思いのまま」白緑の「白加賀」などの様に雅名が一般的になっている枷もある。三月四日、京都の梅はまだ早いのだが、北野神社、二条城、植物園の三か所で写真をとった。梅は咲く場所が大切である。伝統のある京都は梅を見るのに適している。c 北野神Rc 京都柏物園(白J重梅)城(淡紅梅)(白枝垂栴)12

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