テキスト1975
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Rキイチゴにヤプツバキをつけた瓶花である。新緑の美しいキイチゴにツバキの赤、花器は淡紫色の壷で京都宇野仁松氏の作品である。温和な花だが上品な趣味の瓶花で、床の間に調和のよい落着きをみせている。新鮮な春の慇じと明るい感覚をもつ瓶花である。ヤブツバキは二月から三月へかけての好ましい花材である。春のカキツバタ、初夏のササユリの様に深い味わいのある日本の花である。て2時間である。特に急いで作ったわけでもないが、さらり昨年の七月だったと思う。介敷の「流枝会」で作った私の立花である。幹を立てる始めから出来上りまで2時間、という松一式の立花としては短時間で作りあげた珍しい作品である。葉組みも七枚ほど使ってある。この葉組みの時間もいれと停頓せずに運んでゆくと、この程度で仕上るものである。松の葉と枯れ枝、左方の小さい松笠―つがよく引き立っていると思っ。立花は実体の枝と花葉の形とその美しさの他に、枝葉花によって作られる空間の形とその美しさ、それを考えて進行する。よい形とそのバランスのよさ、それを考えつつ怠速に進めて行く。どの花でもそうだが、手間を入れすぎ考又すぎるほど俗悪になりやすい。手早く作りあげて、しかもよい形に仕上げるには、日頃の鍛線と透徹した考え方が必要であり、それが短時間に順序よく運ばれてこそよい作品が作れるのである。2時間で作った私の立花(専渓)l8中作3点》ヽR キイチゴヤブツバキ

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