テキスト1975
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どようふじどこの山にでもある山藤の木、くさむらに入ると藤のつるに足をとられてどうと倒れることもしばしばである。高さ5メーターにものびる喬木だが、近くの木にからみつき、また藤つると藤つるがからみあって、高く他の樹木につり上がって行く。四月頃赤紫色の花が咲き、そのあと長く房状の豆に似た実をつけ、やがて秋冬の季節に褐色の実となり、からからと音を立てて風の中に鳴る。私達のいけばな材料として風雅であり、他の花材と取り合せて調和のよいものである。これとは別に同じ山藤の種類の中に「土用籐」というのがある。七月の中旬ごろ細いッルに柔らかい若葉をつけ、白い小型の花を咲かせる。水揚がよくやさしい雅趣のある山藤である。暑い盛りの頃咲くので、「ドヨウフジ」といっているのだが、これは雅名であろう。京都の祇園祭のころ土用藤が咲き、笹の葉にからみついたものをそのまま、小さい瓶花に入れ、キキョウなどを添えると、いかにも清風をさそうような雅趣を感じる。秋に入ると小さい豆状の実となり、やがて赤褐色に色づきやさしく美しい。山藤の実7山藤の実,モンステラ,ヤプツバキの赤,変った配合だが意外によく調和している。藤の実をかなり多く入れて下方に垂れさせ,前後左右に配四した。背高い花器から垂れる藤の実と茎。複雑な形の組み合せ,これに対比するように,花器の上方にモンステラのたっぷりとした深緑の大葉を2枚前後に組み合せて挿した。藤とモンステラ。線と面との組み合せが面白いと思う。ャプツバキの赤い花が全体をひきしめている。大きい作品5

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