テキスト1975
45/147

花の名は複雑である。―つの花を考えてみても学名、通俗名、地方名、雅名と五つ六つにいいわけられているのが普通であって、それが数千数万と種別があるのだから、全くややこしい。学術名が正しいということが解っていても、捨てがたい風雅な名もあり、たとえば梅を「好文木」といい「風待草」という様に、文学的な情緒的な呼び名をきくと、またそれにもひかれる。昭和5年に発行された辻永氏の「窟花図鑑」をひらいてみる。10冊の植物図集だがその中に洋花を日本名(雅号)にして記録してあるものが多い。中々而白いのでその中から一般的なものを抜き書きしてみる。ポインセチア(狸々草)カラジュームアンスリューム(おおべにうちわ)アマリリス(じゃがたらすいせん)アイリス(ねじあやめ)ネ。ヘンテス(うつほかずら)ホクシャ(うきつりほく)などこの種類の附名が多い。ジニアの百日草、マリーゴールドとくじゃくそう、ゼラニュームのてんじくあおい、グラジオラスの胆芦蒲、この程度のものは明治のころに名づけた洋花の日本的選名とでもいえるものだが、例えばその中の唐菖蒲(グラジオラス)など一般名として、十分通用していたものが多い。洋花は洋花の原名で呼ぶことが正しいのだが、日本名にかえて名附けた先賄の人達の智恵を考えてみると、ほほえましい気持がする。(はにしき)(ときわらん)(瓶花)ラッパスイセンアカシャ黄色の同色配合である意外に而白い色である5\JI'

元のページ  ../index.html#45

このブックを見る