テキスト1975
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ヽ・, Rもくれん(木辿)は3月25日かろまっ白の花が咲く。京都の三条寺町に天性寺という寺があって、その横の通りが天性寺の図子(づし)といって、この細い通りを抜けると河原町。ここに朝日会館、ロイヤルホテル、京祁ホテルが並んでいて京都の代表的なメインストリートということになる。この天性寺の図子に面して寺の土塀がつづいているのだが、毎年、三月のすえになると、この土塀の上から遥りをのぞく様にしてまっ白のもくれんの花が見事に咲く。私の記憶では3月28日、この日がいちばん美しい。彼岸桜の自然に咲くころで、淡紅の彼岸桜を私逹は「おこわ」といって、その頃の彼岸桜を生花に活けていちばんよい頃あいという、そんな季節感を肌に感じているのであら4月2日ごろまで、大体、このこる。もくれんは3月28Fl、京都御所の紅葉は11月17日、などと大体きめているのだが、もちろんその年によって狂いのあるのは当然だが、その他、伊吹山の何合目のぎぼうしは0月の0口、かのこ草は何日、北山花背峠の北山桜は何日ごろ、淀川べりの草藤は0片の0日などと、私のノートに記録してあるのだが、実際に闘べた想い出もあって中々楽しい。瓶花。これもかなりの大作であって、二月のはじめに活けた糾室咲きのもくれんである。もくれんは咲く頃よりも堅いつぼみの頃が雅趣があってよく、大体に平凡な木振りのもので古雅な趣味の花である。もくれんと椿はそれこそおきまりの取合せだが、この季節の大作には使いやすい材料といえる。枝の調子によって変化のある瓶花が作れる。さて、ここに掲載したもくれんのcラッ。ハスイセンとやぶつばきの二種の盛花である。両線のあるスイセン、まるい葉と花の椿、二つの材料の形が進うので配合よく見える。ラッ。ハスイセンの淡黄、椿の赤と濃緑の葉、色彩の配合もよく美しい。椿の枝がのびのびと使ってあるのも、この盛花をひろやかに見せているところだろう。花器は淡いグレーに褐色の焼色がある。平凡な盛花だな、と思いながら作ったのだが意外によいもうけものの花である。それに反してRのモクレンとツバキの瓶花、よい瓶花になるだろうと期待したのに平凡な形になったのはあたりそこないといったところ。中々思うようにならないものである。とにかく型にはまったいけばなは面白くないものである。モクレンの瓶花の右方へのびた椿の一枝、ラッパスイセンの盛花の右上方へのびた椿の一枝、これが二つの作品の見どころである。c 7 ....... ”ifi` ~•••••

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