テキスト1975
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大作は大作としてのもち味と変化があり、小品花は小品としての味わいがある。的なこの二種を活けて、それぞれの個性を考える。小品花白椿一種(ほんあみ)この月のテキストには対照このテキストに掲載した作品は、大作といってもそれほど大きいものではない。普通の瓶花盛花よりも大きく材料の分量も一瓶に対して普通の二倍三倍程度の作品である。また小品は、極めて小さいというほどでもなく、普通の半分ていどと考えてよい分蛋の小品花である。写真にとって同じキャビネの印画紙に焼きつけてみると、大小がわかりにくいが、よくみつめてその材料の分量と大きさを比較して下さい。大作の瓶花盛花は、ただ大きいというだけでなく、その作品の中に大きく作るがゆえに作品の重厚なもち味・複雑な枝葉の配列や花の配戦によってあらわれる変化の面白さ、あるいはカ強い感党、そんなところに大作の雄渾なもち味があるといえる。また、小品は清楚なやさしさ、美しさ、小さい花であっても見る人を引きつけるような品位とひきしまった形の美しさ。例えばイヤリングやネックレスの様にボイントをしっかり掴んだ点の美しさ、そんな感じが小晶のよさであろう。ガラス絵のような小さくとも強い感覚をもつ、そんな美しさが必要であるといえる。これは日本種の花を活ける場合も、洋花を活ける場合も同じ考え方が必要であるといえる。写真のいけばなをみる場合、大作の瓶花盛花は強く前方へ出る枝と深く枝葉を霊ねて奥行を作った作品がわかりにくい。写真では説明しにくい厚味の感じと、力強さの感じがある。なるべく写真でわかりよくと考えると、真実の大作のもち味が出ないということになる。大作と小作毎月1回発行桑原専慶流編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元1975年3月発行No. 141 しヽけばな

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