テキスト1975
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この写真でみるとよくわかるのだが、花器は厚味のある柔らかい形、璽厚な味わいの中にギリシャ花瓶にある様なエキゾチックな感覚を見せている。花器の内部の美しさを見せるために、複雑な葉のある花材を入れず、単純な形と色のカユウの花を7本、やや短く切って花を揃える様な感じに入れた。陶器の地肌の土のうるおい、カユウの単純な白、この二つが結びあって、びったりとした自然らしさを憾じるのである。この花の活け方は簡単そうに見えるが、花器と―つの感じに合わせようとする。その調和を引き出そうとする考え方、そこにむずかしさがある。ヵュウの七本の花はそれぞれ花の向きを変えて、高い花と低くみずぎわに挿した花の配附、緑の茎の柔らかい感じの線、そんなところにも考え方がある。この花席の三作のうちに、ウの瓶花を一瓶加えたのも、他を引き立てるのに役立っていると思う。単純な美しさをみせるカユ力ユウ② レナンキュウラスは、黄緑の葉の中から高く父ふ疋出て大輪の花を咲かせる。訳径5センチほどのまるい類弁の花、まっ亦な強い色が実に新鮮にして美しい。写真のレナンキュウラスは鉢ものの土つきのまま、鉢の見えないような深い花器に入れたが花だけ切りとったのでは、この花の感しがこわれてしまう。これも一っの花の引き立て方であろう。渋い杞色の百^11の実の枯花、単純な直線の茎を高く立てて、低い葉との対照をとってある、明る<美しい花である。5 ユリの実レナンキュウラス

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