テキスト1975
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カヽ'0(富春軒にて)(対談)藤たか安子子素子素子素子素子どうです、忙しいですかたか子忙しすぎましてね、少し休養しませんとねえ、索子さんみたいにお花を活ける生活なんて、全くうらやましいーーどういたしまして、私自身お花を楽しむ時間が欲しいくらいです。ところでたかちゃん、このごろお花を活ける時間はありますか。たか子わたしお花を活けるのが好きでしてねえ。だいいちお座敷のお花がいつも美しくないと気持ちが悪くて。そんなんですから三H目に私自身が活けることにしているのですが、お店(祇園)と二階のお座敷に万瓶ずつ、いつも新しいお花であるようにと注意しているのですが、旅行が多いでしょう、そんなとき花屋に頼むのですけれど、なんだか堅い感じの花が人っていて、さらりとした感じがなくて、色気がないというのでしょうか、うるおいのないお花が入っていて°||私‘決して上手ではないけれど、やはり私なりの好みがあるわけねえ。たかちゃんはどんなお花が好きですの、日本趣味の花、それとも洋花。たか子私、意外にしずかな花が好きなんです。日本の花でもすすきに単弁の小菊といった様な趣味も好きですし、洋花ではバラが好きですねえ。ことにいちばん好きなのはオレンジ色のバラ、それに濃い赤色のバラ、このごろオンシジュームの淡い黄色の洋閲を活けていますけれど、あんな軽い洋花も好きですねえ。るい洋花もお好きというところね。たか子花器もカットガラスの花瓶、篭の花入れなどあっさりしたものが好きなんです。洋酒の瓶によい形のものがありますねえ。このあいだコニャックの瓶、バカラのガラス器ですが、その空き瓶に花を挿してみたのですが、あれデザインがいいし空き瓶といっても中々どうして、よい花瓶になります。ガラス器の中でも質がよr、>し 素。子のものがありますねえ。一昨年、ソ連邦を旅行したのですが、あそこの酒瓶には形の変ったものも少ないし質のよいものも少ないようですね。二年ほど前でしたか、たか子さんのヨーロッ。ハ旅行のお土産にもらったイタリヤの赤銅色の花瓶、中々よいデザインでした。花を活けてもよくうつります。ところで、たかちゃんは「前衛いけばな」というのを知ってますか。たか子なんだかいけ花のように思えないし、第一、京都には向きませんねえ。ひそめましたが。あれにはあれの衷剣なもの真実のよさがあったのですが、結局は理解されないままに終ったようです。流行となるとよいものがその背面にかくされて、きびしい批評をうけることになるのでしょ素子素子渋い日本調もお好き、明大体そんなところです。フランスのものによい形わたしあれ嫌いですの。このごろはすっかり彩をう。たか子このごろのお嬢さんは皆さんお背が高いし、お服の好みもすっかり変りましたねえ。ほんとに美しい方が多くなりました。和服に今ひとつ変った柄ゆきのものが見られません。江戸どき御所どきの感覚、新しい日本画風の図案、古典様式の再現、そんな形式の中の優美なもの、その範囲が多いと思つのですが、如何でしょう。加賀友禅に江戸小紋、辻が花染、沖縄の紅型、更紗調などいろいろあっても、日本のきものは日本の伝統から出発した図案が多いと思うのですが、ここらで印度のサリーの泌触や、フランス衣裳の感じを和服にとり入れる、といった様な、なにか新しい色彩と図案が見たいものと、思いますねえ。たか子このごろきもののきれ地を洋服に使うことが一種の流行のようになっていますけれど、あれもよく選択されたものは中々面白いと思います。男性のお洋服はどうですたか子若い男性の方、だんだんスタイルのよい方が多くなりましたねえ。ご趣味もよいし。中年以上の男性はどうですか。たか子ご立派な方が多いと思います。ただ、少し気になるのは呉服関係の年配のお方のお洋服、もひとつ板についてない様に思うことが素子素子趣味のいけばな桑原素... 私、意外にしずかな花が好きです。10 •••

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