テキスト1975
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生花(せいか)は別に格花(かっか)ともいわれ、また一般に流儀花(りゅうぎばな)とも呼ばれます。流儀花という意味は生花の流派によって花形が違う、といったところから一般に使われた呼び名ですが、あまりよい感じの名ではありません。その依って来たるところを考えてみると、形の差異や技法の相迩から言われているのではあるけれど、「こ「流儀花」のお流儀ではこの様に活けるのですよ」といわんばかりの名前です。また規定通りの花型やいい伝えを、「型もの」の様に教え習う感覚が多分にあります。真実の生花は「お流儀花」的な形式だけの花であってはなりません。生花は―つの花の団体(流派)に屈して習得する以上は、自然にその集団の活ける形に入って行くものです。―つの芸術団体ですから当然、一緒に研究する以上はしいて流儀花という固定したものでなくても、その作品は―つの方向に添って同じ性格やその形、あらわし方が同じ様になってゆくものです。瓶花盛花を流儀花とはいわない様に(流派の花であっても)生花は生花でよいし、むしろその言葉のもつ古い「型もの意識」をとりはらうべきもの、と考えます。「流儀花」の時代がどれほど生花を低下させたか知れません。どの花の団体に属していようともそれに関係なく、各自が優れた作品を作る、と考えるべきです。生花には花材によって活け方作り方について、一定の方向をきめております。これは材料によって最も優美な形になるように定められてあるもので、その方法によるとその花材がよく引き立ち、よい花形になると生花の約束こおりやなぎ菊つばき二喧切筒(にじゅうぎり)の生花です。上段にれ勝手の副流しの花形(コオリヤナギ、キク)を人れ、下段に左勝手の小品(ツバキ)が入っています。上下の花形を大小と作り、花の種類の調和のよいものを選択して配合します。下品にならない様に注意します。8生花の約束

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