テキスト1975
143/147

R白、赤染め分けのダリアを5本、手附篭に生花として活けました。篭の花器に牛花を活けるときは、篭の手のリンカクの中へ花形をおさめるのが普通でありますが、材料によっては写真の生花のように手を越して上方へのびさせ、また右方へも葉をさし出してもよいのです。この場合は留(左方)の花は篭の手の内方に入れて、手の三方を切らない様にします。篭花器との調和を考えて、これが花器を引立てることになるわけです。控は低く後方に挿します。中筒を用い剣山で留めています。生花としては明る<美しい花です。ゆきやなぎ(中菊)c紅葉のユキヤナギ、白中菊二種を広口の水盤に活けました。花器は黄土色の長円型の陶器です。剣山で留めています。花形は二株生け、これを分体花形(ぶんたいかけい)又は株分け挿し(かぶわけざし)といいます。右方を主株(おもかぶ)左方を子株(こかぶ)といい、ユキヤナギの紅葉と菊の白、緑の棠の色彩は上品な中に落芳きのある季節感をみせています。ユキヤナギは右方の副の枝を軽く長くさし出し、中央の留の部分を菊の花葉の上へ砿ねる様に出して、色と形の結び合いを考えています。分体花形の場合は中央の空間を美しく見せることが技術ですが、ことにその水面を美しく感じる様に特に注意します。水盤は水を見る花器でありますから、どの場合も水際(みずぎわ)の処理が大切であることは、生花の場合も盛花の場合も同じです。ユキヤナギの個性を考えて垂れる枝を加え、それが生花の花形の部分にもなり、また菊との配合上、バランスのよい形になるよう、長円形の花器に晶和するよう考えてあります。前方と後方へ枝を出して花形の深みを作っています。c 分体花形(かぶわけ)7

元のページ  ../index.html#143

このブックを見る