テキスト1975
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@ ムベの実デフェンバギア紺年八月には上高地の帝国ホテルで数日をおくるのが私の例となっている。その古雅な山のホテルもとの八月で改築されるという。現在の北欧風の建造物の最後の八月下旬、白樺の森の中にあるこのホテルに宿泊して、冷涼の数日を過した。この八月の上旬は北海道の旅行、下旬は上高地とずいぶん多忙な日程だったが、旅をしながら自然の花を見ることは、いけばなのためにいろいろ見聞をひろげることにもなり、まことに恵まれた渓(絵と写真)及であった。明神池までの10キロは、道なれた人にはほんの散歩迎ともいえるほどだろうが、近頃、足剥くなった私には少々きつく、ただ梓川にそうた山路の適すがら、ナナカマドの朱色の実やフシグロセンノウの花、紫のイワギキョウ、トリカブト、ツルリンドウの紫花など、まれには岩の問に黄色のコガネギクなどを見ることが出来、シラヤマギクの群落やタムラソウの赤紫の花が、ひときわ色めいて見えるのも美しかった。Jf\ ー(ノゞ穂高連峯を望む梓川から美しが原へ山の花専

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