テキスト1975
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R秋は実ものが多い。このテキストには、野菩薇の実、蓮の実、シナノガキ、サンザシ、ムベの実の五種を活けた。その他を考えてみると、栗、かりん、マユミ、イイギリ、サンキライ、ニシキギ、ユリの実、ヒオオギの実、藤の実、柿、アヅサ、その他随分多くみることが出来るし、いけばなに使うことも多い。春は木の花、初夏の頃の水草の花、秋の実ものと紅葉、これらが季節を代表する材料といえる。Rの瓶花は白泥色に緑のうわぐすりのかかった壷、花材はサンザシとノイバラの実。枝振りがさびて変化がある。これに鬼百合の淡黄色の花を三本つける。この瓶花は基本形の「中間主形」の花形である。Rムベの実、バラ、デフェンバギア三種の材料を二つの花瓶に入れて配合をとった。二つの花瓶で―る、これは「二瓶飾」ーにびんかざりーの形式である。左の花瓶は白い陶器、右の花瓶はコバルト色の手附花瓶(提瓶)である。ムベのツルを整理して茎と実のよく見えるようにし、のびのびと左右にツルをさし出して、ことに右へ出た流麗な線が、バラの上に重なって美しい形を作っている。バラの色は淡紅色でデフェンバギアの葉によって明るい感じをみせている。下まで垂れたムベの実と葉、花瓶の白に重なって図案的な美しさがある。ニつの瓶花が結びあって形もよく色彩的にも美しい感じを出そうとする装飾花である。つの作品を構成すさんざしのいばら黄色おにゆり8 R

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