テキスト1975
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~入ヽヽこのごろ少し下火になったが、若い人達の流行であったジー。ハン姿、あの色は実にいい色である。アメリカの労働若から出発した流行とのことだが、木綿の淡い紺色は実際いい色である。狂言の衣裳の中にこのさびた紺色がよく使われている。紺は洗いさらし、すり切れるほど古くなると、段々素朴な色を増し味が出てくるものだが、私達が狂言会につける太郎冠者の袴や肩衣、大名の長袴などに紺色のものがあるのだが、上等の役柄のときは第一級の衣裳をつけてもらえるけれど、下っ端の役になると、あやうくすり切れたような袴をつけることになる。ことに長袴などご承知のように、舞台の板にすって歩くので、長い期間使われているものは、色もあせて足もとはよれよれになって色がさめている、といった実にあぷない衣裳なのだが、これが観客席からみると実によい色に見える。大体、狂言衣裳は肩衣にすばらしい図案が描かれており、古い日本画の図案の中に一調子はずれたしゃれた絵模様のものが多く、今日的に見ても新鮮な感じのものも多い。ジーパンの色さめた藍の色と狂言衣裳の古い藍色とが、なんとなく―つの様に思えるのは中々面白いと思うのである。私達のいけばなの中にもあの様な、古さびたしゃれた色が出せないものかと、しきりに考えるのだが、褐色や黄土色の場合は枯木枯葉の中から得られても藍色となると花器からでないと得られない。中間色やさびた花の色、て使うのも中々面白いと思っている。黒色と藍色は植物にはほとんど少ないと思うのだが、全く魅力のある色である。(専渓)葉の色を考え5 @

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