テキスト1975
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R ハスの葉ノイバラキクる。日本の四季のうちいちばん情紹のある季節、晩秋から冬へ変化してゆく11月中旬から菊の葉まで緑から紅葉へと色をかえて行く。自然の草木も姿を変える季節であるし、私逹は衣服をかえ部屋をあたため、早々と冬の仕度をするようになる。あわただしい晩秋は数日にして冬を迎えることであろう。春の花は明る<派手やかであるのに対して、秋の花はしずかに落粋きのある情趣をもっている。実つきの木ものに枯葉の一残ったもの、紅葉の木の葉、草の業の緑から紅色に染めわけたもの、そんな材料を渋い好みの花器に入れる。早咲きの椿の花、すいせん、返り咲りの桜、ぼたんの返りばな、菊の葉の紅葉など一層風雅である。私逹のいけばなでは夏は夏らしい清爽とした脳覚のいけばなを活けようとするし、秋から冬へかけては落苦きのある花、優雅な花を活けるのが普通である。ことに私述の手にする花材そのものが、すでに季節の形や色を変えているのであるから、それを花瓶に調和させ大しい技巧で作り上げる、というのが一般的な考え方である。しかし、すぐれたいけばなというものは、配合が適切であり技術がすくれている、というだけでは優れたものとはいえない。その作品から何か新しい工夫のあるもの、たとえ秋の自然趣味であっても、その配合の中に花形の中に、どこかに作者の考案があり、作者の心がのべられてある様な作品が望ましいのである。ただ美しく風雅であるというだけでは、物たりない恐いがする。11月は秋から冬へのうつり変りの季節であ12月初旬にかけて、山の樹木は紅葉し、庭のっ二つ3 "l 、""'

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