テキスト1975
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しようと思って、さて私の花器棚をしらべてみると、花の入る漆器は意外にない。さらに形の変ったものというといよいよ少ない。これなら花が入るというのは、どうにか10箇ばかりである。漆の花器は比較的使うことが少なく従って買う機会も少ないということになる。10月号テキストは「漆の花器」にしかし、今度の場合、どうしても花器が足りませんということになって、明日撮影というその前日の8日、京都での有名漆器店の四条あそべと岡崎の象彦へ行く。漆器では代表的な店だが、さて私の活ける花器、大振りの器物の類はそうざらにはないものである。これも陶器と同様、すぐ欲しいから買いに行くというのが、そもそも心得迩いと申すもの。とにかく選択した漆器五個を持って帰って、これでどうにか明日の写真には間にあう、ということになった。いつもながらあわただしいテキストの楽屋である。かなり花器を揃えているのに漆菩は少ないし、漆器店でも花の入る花器というものは意外に少ないということを思い知らされた次第゜すすき、あわの穂、クレマチスの三種の盛花である。咋年から保存された粟の枯実にすすきの青葉を添える。クレマチスは紅色の小さい花、珍しい品種である。花器は高つきの菓子器。足が高く花を盛っても形がよい。クレマチスの写真うつりが悪く全然感じがわからないが、この花、中々よい花だった。ので、あまり左へ寄せない方がよい。(上の平皿の三分の一の位置へ)形の中に品格のよい器である。紅つばき一、二輪、また乙女百合を小量入れるといった小品花もよく調和することと思う。剣山の位置が左によりすぎると、この花器では重心が不安定に見えるこの花器は大変美しいし、伝統のあわすすきクレマチス12

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